みんなの夢のせ「イギョラ ONE KOREA」

音楽が結んだ朝・日女性の出会い
高裕恵さんと
富山孝子さん


 先月20日に大阪で行われた民族教育チャリティーコンサート「ひとつのハーモニー」。コンサートで披露されたさまざまな歌の中に、「イギョラ ONE KOREA」という歌があり注目を浴びた。この歌が舞台に上がることになった陰には、朝・日の2人の女性の出会いがあった。

きっかけは「リムジン河」

富山孝子さん(左)と高裕恵さん

 「イギョラ ONE KOREA」を作詞・作曲したのは、滋賀県に住む富山孝子さん(52)。富山さんは、主に京都でライブ活動を行っている、「佐渡屋イエローブルースバンド」というバンドのメンバー。

 去年の夏、富山さんはある在日同胞女性と知り合い、色々な話を聞いた。その時の話をもとに、祖国を思う在日の気持ちになって作ったのが「イギョラ ONE KOREA」だった。この歌はライブで何度か披露されるうちに、聞いている人たちから「合唱を入れよう」「バイオリンの音色が合う」などの話があり、去年の10月、ついにCDになった。

 そんなある日、富山さんは新聞に掲載された大阪の高裕恵さん(49)の投書を見た。

 「今年から夜間中学で週1回、音楽講師を務める私ですが、秋にはハルモニたちと『リムジン河』を合唱しようと思います。ハルモニたちの夢を乗せた歌声を響かせたいです」
 高さんの投書を読んだ富山さんは、(ぜひとも「リムジン河」と一緒に「イギョラ ONE KOREA」も歌ってほしい)と思い、新聞社に問い合わせた。

 「楽譜を初めて見た時、私たちが作るものとは全然違うと思いました。私たちが作ると、どうしても恨(ハン)やたたかいの色調が強くなってしまうけど、富山さんの曲は悲しみを素朴に歌い上げているんです。でも決して悲しいだけではなく、『イギョラ』という言葉の中に希望に満ちあふれた何かがあるんです」(高さん)

 2人は電話でやり取りするうちに、秋まで待たずに「ひとつのハーモニー」で披露しようということになった。

朝鮮民族へのエール

 「こんなにいい曲を自分が作ったのかって思うほど、コーラスの人たちが素晴らしかった。自分の作った歌を客席で聴けるのがこんなにうれしいとは思わなかった」

 コンサート当日、客席で観覧していた富山さんは、高さんにこう話した。

 この日富山さんの歌を歌った東阿女声コーラスのオモニたちも、「歌えば歌うほど歌詞への共感が生まれてきた」「噛めば噛むほど味が出てくる」と口を揃えて言った。

 高さんはこの日、朝大の先生に朝鮮語に訳してもらった「イギョラ ONE KOREA」の歌詞を富山さんに渡した。

 富山さんは、「この歌は北、南、海外の朝鮮の人たちに私から送るエールです。音楽というのは天に昇って蓄積されるもの。この歌を、いろんな人がちょっと聞いたり歌ったりすることで、平和を願う気持ちがきっと天に通じると信じています」と話す。

 今回の出会いを機に、これからも音楽を通じた交流を続けていこうと約束した高さんと富山さん。

 今年の10月、夜間中学で学ぶハルモニたちが「リムジン河」と一緒に、「イギョラ ONE KOREA」を歌う。(李松鶴記者)

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 イギョラ ONE KOREA/佐渡屋イエローブルースバンド
 K's RECORDS 京都市下京区室町6条西入る253、TEL 075・351・2377

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