民族文化守り、歌で同胞の輪を

大阪で民族教育チャリティーコンサート 「ひとつのハーモニー」


 民族教育チャリティーコンサート「ひとつのハーモニー」が7月20日、大阪府立女性総合センター「ドーンセンター」で行われた。民族教育の発展を願い、音楽教育とともに普段からの情緒教育にも少しでも役立ててほしいと、文芸同大阪支部音楽部が企画した。

「これからもやって」

 近畿在住の同胞ら140余人が舞台に上がった公演は、550余人の同胞、日本市民らでにぎわいを見せた。

 大阪朝鮮吹奏楽団による吹奏楽合奏「われらの願い」で幕を上げた公演では、同胞らが創作した朝鮮の歌「お茶でもいかがですか」「青トウガラシが一番」「いつもニルリリヤ」や、文芸同大阪支部文学部の李芳世氏が作詩した「臨津江に集まれ」、滋賀県在住の富山孝子さんが祖国を思う在日朝鮮人の思いを凝縮し作詞・作曲した「イギョラ ONE KOREA」などが披露された。

 大阪朝鮮民族器楽団による民族器楽合奏「金剛山打令」やカヤグム独奏「海の歌」など、バラエティーに富んだ演目も好評だった。

 なかでも、もっとも多くの拍手を浴びたのは、京都在住の李康主ハルモニ(75)による民謡独唱と、1世のハラボジ、ハルモニと子供たちによる合唱。観客の中には1世の姿に涙する人もいた。

 公演の最後をしめくくったのは、出演者全員による大合唱「われわれはひとつ」。

 文芸同大阪支部で音楽部長を務める尹忠新さん(41)は、「民族性を守ることが重要視されている現在、音楽会の目的を技量の追求にだけ置くのではなく、民族文化を守る手段のひとつとしてとらえる必要があると思う。今回の公演では、子供たちが1世と一緒に舞台に立ち同じ歌を歌うことで、失われつつある民族性を取り戻すきっかけになったと思うし、若い世代がどれだけがんばっているかを証明するいい機会にもなった」と話した。

 参加者らも、「これまで練習してきた甲斐があった」「これからもこういう催しをどんどんやってほしい」と満足げだった。

 主催者側は、今回のコンサートの収益金でキーボードやコンポなどの音楽関係の備品を購入し、大阪府下の朝鮮学校に寄贈する。

文化サークルの活性化

 今回の公演を機に、文芸同大阪支部音楽部では学校での音楽や情緒教育、地域文化サークルの活性化を図っている。

 事実、歌舞団や楽団以外にコンサートに出演した各地域のコーラスサークルのメンバーは、日頃から練習を重ねてきた同胞たちだ。

 また、音楽部では大阪朝鮮吹奏楽団第22回定期演奏会(9月1日)、男声コーラス「サナイ」公演(10月19日)、大阪朝鮮民族器楽団演奏会(11月16日)、第3回OSAKA音楽作品発表会(12月1日)など、各地域、単位別のコンサートを予定している。

 「こうした機会を多く設けることで、ゆくゆくはすべての地域にコーラスサークルを発足させ、合唱祭りといったイベントも組んでみたい」(尹部長)という。

 文芸同大阪支部音楽部では、歌を中心に同胞が集まり、時には悩みも打ち明けられる「同胞の輪」を築き、どこに行っても同胞の歌が聞こえる環境を作るため、今後も地道な活動を展開していく予定だ。 李松鶴記者(社会・生活欄に関連記事

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