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米国の株価が連日、急落している。22日には98年10月以来の安値をつけた。世界経済の中でしばらく一人勝ちを続けてきた米国もついに「株バブルの崩壊」かと、その直撃を心配する日本の市場関係者はかたずを飲みながら成り行きを見守っている
▼株とは縁遠い存在だけに、仕組みは頭でわかっていても、実際の動き、活字の世界でいうなら行間を読む力はない。しかし、ブッシュ一族がらみのエンロンやワールドコムの会計不正など巨大企業の、モラルをモラルと思わない独断専行が嫌気を買ったことはなんとなくわかる ▼モラルの無視という点については、日本の企業にも同じ事がいえる。産地を偽ったり、廃棄すべき食品をラベルだけ付け替えて売ったり、今ほど消費者の不信感を増幅させた時代はなかっただろう。いや、情報の開示や消費者の目が厳しい今がこれほどなのだから、かつては闇から闇に葬り去られて、もっとひどかったのではなかったかとも思ってしまう ▼その一方で目を国際社会に転じると、イスラエルの人を人と思わぬパレスチナ民衆に対する殺りくが続いている。ロシア、バルカン半島、朝鮮、アラブ諸国に対しては、民主主義やら民族自決やらを鬼の首を取ったように吠え立てる米欧諸国だが、パレスチナ問題については借りてきた猫のように、それも異様なほどにおとなしい。見てみぬふりだ ▼正義とは、モラルとは何なのか。音楽家の坂本竜一さんは、諸悪の根源として「弱肉強食」の考え方を上げる。そして「言論がまともに機能する公正な世界を」と。(彦) |