朝鮮学校の処遇改善 愛知・署名運動、学父母ら各駅前で協力訴える
8月末までに10万人目標、知事、県、市議会に働きかけ
在日朝鮮人民族教育愛知県対策委員会が、6月2日から行っている「教育助成金拡大のための3カ月運動」の一環として17日、近鉄金山総合駅、JR名古屋、尾張瀬戸駅をはじめとする5カ所で署名運動が行われ、県下の同胞や学父母、学生、朝青員らが参加した。参加者らは、学校としての正式な認可、私学と同等の助成、寄付金の損金扱いなどを求め、市民らに広く協力を訴えた。
「差別知らなかった」日本市民ら励ましの声、2日間で約1万人分集計
各駅前では、同胞らの訴えに足を止め、署名に応じる日本市民らの姿が目についた。そして口々に、「(政府は)朝鮮学校をまだ学校と認めていないのか」「日本社会がまだまだ遅れていることを実感」「朝鮮学校が差別的な待遇を受けているとは知らなかった」などと言いながら、参加者らを励ましていた。 今回、仕事をおして署名運動に参加したという李昌麒さん(24)は、「朝高の卒業生として、自分ができることなら何でもやって恩返しがしたかった。朝鮮学校の問題に対して無関心な人がいる反面、励ましの言葉をかけてくれる人も多く、力を得た」と話していた。 3人の子供を朝鮮学校に送っている李陽さん(46、名港支部委員長)は、「民族教育問題は学生や父母だけではなく、在日同胞全体の問題。町内会など普段から接触のある日本市民らが、私たちに対して協力的なことでもわかるように、自分が責任を持って問題を解決するという立場で、常日頃から努力することが大事」だと強調した。 これに先立つ12日には東春朝鮮初中級学校の生徒や父母が、JR春日井、勝川、高蔵寺駅などで署名運動を展開、朝鮮学校の処遇改善を訴えるチラシなどを配布した。 両日合わせ、署名運動に参加した同胞らは延数で500余人にのぼり、およそ1万人分の署名を集めた。同対策委員会では8月末までに10万人分の署名を集め、県知事や県議会議長をはじめとする行政に提出する予定だ。 また、署名以外にも県や市の議会への働きかけ、県知事および名古屋市長の朝鮮学校訪問、「愛知朝鮮学園の処遇改善のための意見書」を作成、文部科学省に提出するなどの活動も行う。 自らの手で改善を、9月3日まで展開 愛知県下の朝鮮学校に対する助成金は1人当たり2万3000円。この額は東京や大阪など大都市圏では1番低い。 「90年代はじめ、朝鮮学校に対する1人当たりの助成金は1万5000円だった。この額は97学年度まで維持されてきたが、98年度から毎年2000円ずつ引き上げられ現在にいたっている。今回の『3カ月運動』をきっかけに今後も世論に訴え、朝鮮学校の処遇改善運動を盛り上げていきたい」と話すのは愛知県教育会の文光喜会長(51)。 県教育会と対策委ではこれまで、朝鮮や在日同胞、朝鮮学校に対する正しい認識を持ってもらうため、各党の県議会議員らを訪ね、講習会を開くなどの地道な活動を行ってきた。 こうした努力が実り、社民、民主、自由党所属の県会議員からはすべて署名をもらうことができたという。 一方で、豊橋や東春、愛知第7などの各朝鮮学校では運営が正常化しつつあり、朝鮮学校を守る運動のすそ野が広がりつつある。 「何もやらずに待っているよりも、自分たちの力で学校の処遇改善を勝ち取ろう」 今回の署名運動を皮切りに、民族教育愛知県対策委員会では、朝鮮学校に対する差別的な待遇是正のため9月3日まで運動を展開していく。(李松鶴記者) |