ざいにち発コリアン社会

洪昌守、朴智星選手らコリアンパワーアピール

J1公式戦で「コリアンデー」


サンガのマスコットキッズとして選手とともに入場し記念写真に収まる在日コリアンの子どもたち
 13日、京都市右京区の西京極陸上競技場で行われた京都パープルサンガ対柏レイソルのJ1リーグ公式戦が「コリアンデー」として設けられ、「第2回KOREA・JAPAN文化スポーツイベント」が同時に開催された。6.15共同宣言を支持し、サンガに在籍する南朝鮮選手らの活躍を民族の一員として応援しようと、昨年9月に続いて行われたもの。朝・日親善スポーツ文化交流実行委員会(委員長=李鐘大・京都府体協会長、副委員長=金寛ラ・京都府青商会会長)が主催した。今回は、先のワールドカップで南朝鮮代表チームのベスト4進出に大きく貢献したサンガ在籍の朴智星選手(21)と、ボクシングWBC世界スーパーフライ級チャンピオンの洪昌守選手(27)が訪れ、20代の若きヒーローの「コリアンパワー」を、日本市民や在日コリアンにアピールした。

 当日は公式戦に先立ち、京都朝鮮中高級学校中級部サッカー部とサンガジュニアユースとの親善試合が去年に続いて行われた。試合は0―3で朝中サッカー部が負けた。しかし、5年連続で日本のジュニアユース全国大会に出場する同チームとの対戦は朝鮮学校生徒にとっては貴重な体験となった。両チームの健闘に、会場からは惜しみない拍手が送られた。両選手らは試合に先立ち洪選手と記念写真を撮った。

 また朴智星選手には、京都府から「京都府スポーツ賞・特別栄誉賞」、京都市から「ワールドカップ特別賞」が授与された。洪選手からは花束が贈られた。固い握手を交わす朴、洪両選手の「コリアンパワー」を称えるとともに、今後の活躍に期待して、会場からは大きな拍手が寄せられた。

 朴選手は、熱い声援を送ってくれた京都市民、そして同胞らに「ありがとう」とウリマルで応えていた。洪選手は「朴選手のスーパーゴール(ポルトガル戦での決勝ゴール)はしっかり見た。同じ民族としてベスト4入りに感激している」と健闘を称えていた。

 公式戦。サンガの選手はパヂ・チョゴリやチマ・チョゴリをまとった府内在住の同胞マスコットキッズとともに入場した。マスコットキッズには50余人が応募。朴選手、同じくサンガ在籍の安孝錬選手が抽選を行い、朝鮮学校在学初級部生徒10人と日本学校在学同胞生徒を選んだ。子どもたちの姿に、会場からは「かわいい」の声が漏れていた。

 試合には、サンガ在籍の南朝鮮の両選手、レイソル在籍の柳想鉄、黄善洪選手ともに出場しなかったものの、同胞らはスタンドから統一旗を振って観戦した。

握手を交わす洪昌守選手と朴智星選手、京都府知事(右)、京都市長
洪昌守選手と記念写真に収まる京都朝中とサンガジュニアジャパンの子どもたち

 ハーフタイムでは、京都朝鮮歌舞団の朴貞任副団長(34)が朝鮮民謡「アリラン」を熱唱した。洪選手は試合中継を行っていたKBSのアナウンサーの質問に答え、8月の5度目の防衛戦は「KOで勝ちます」と宣言。「コリアンパワーをありがとう」とスタンドに呼びかけた。

 試合後半、サンガのサポーターは女性同盟が設けた屋台でキムチやチヂミを食べてかパワー増強。選手らも20代の朴、洪両選手のコリアンパワーに刺激されてか、前半と後半それぞれ1点を入れ、2―0でサンガがリーグ4連勝を飾った。

 サポーターの1人、山崎智仁さん(24、会社員)はコリアンパワーの源について、「無限の体力、最強の闘志では」と言いながら、「同じ世代として、世界に通じる2人のコリアンパワーを見習いたい」と述べた。

 また初級部1年の息子と訪れた鄭健一さん(34、会社員)は、「コリアンの国技はサッカー。子どもたちはこうした親善試合を通じて、もっと強くなってほしい。また今日は民族の文化について日本市民にも広く伝わったと思う。とてもよい企画」と語っていた。

 青商会の金会長(38)は、「朝鮮学校生徒のサッカー強化につなげるよい機会になった。今後も多方面で子どもたちに夢と希望を与えていきたい」と話す。体協の李会長(55)は、「民族教育を受け、世界のスポーツ界で活躍して堂々と自分の主張を述べる洪選手の姿に、多くの日本の関係者が感銘を受けていた。統一の世論を高めながら、さらなる朝・日親善に尽くしていきたい」とイベント成功に満足げだった。

 なお安孝錬、朴智星の両選手は昨年7月、京都朝鮮中高級学校を訪れ、サッカー部選手たちに技術指導を行い、交流を深めた。南朝鮮の選手らはサッカーをするうえで最も重要なことは何かとの生徒たちの質問に、「しんどい時、それを放棄するのではなく、1歩前進してよい結果を出すことだ」と答えていた。(羅基哲記者)

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