大阪で医協西日本主催の研究会

偏見、差別のない社会を

ハンセン病で体験談


 医協西日本本部主催の「第13回研究会」が6日、大阪市天王寺区内の同本部事務所で開かれ、医協会員をはじめ留学同などの学生らが参加した。

 今回のテーマは、ハンセン病について。研究会ではまず、同本部の金英一会長が「差別・排除される病」と題し、ハンセン病の歴史と日本政府が90年にわたって、断種、中絶などの隔離政策を実施してきた不当性について解説した後、半世紀にわたり岡山県の国立ハンセン病療養所長島愛生園に強制収容され、現在、日本政府の過失責任を求める国家賠償請求訴訟を起こしている金泰九さんが、「偏見差別のない社会こそ自分らしく生きられる社会」と題し経験談を語った。

 現在、日本には国立・私立あわせて15の療養所があり、そこには約220人の同胞患者・元患者が入居している。そのほとんどは1世だ。

 金さんは、日本の朝鮮植民地支配の結果、日本に渡り、日本陸軍兵器学校でハンセン病の初期症状が表れたと言いながら、その後療養所に強制収容され、これまで「2重の差別」に苦しんできたことについて語った。

 また、ハンセン病は遺伝性でもなく、感染力の弱い病気であると強調しながら、日本の隔離政策の不当性を訴えた。そして、すでに亡くなった人を含め差別を受けてきた人々の尊厳を回復させるためにも、日本政府から謝罪を勝ち取ると指摘した。

 参加者らは、「知識では知っていたが、経験談を聞き、その痛みを実感することができた。人間としての尊厳を奪われることは決して軽いものではない」(張良実さん=学生)、「日本の社会では誤った考え方がいまだに残っており、そこから偏見や差別が生まれている。それを正す意味でも正しい知識を学び、偏見と差別のない社会を築いていきたい」(゙裕美さん=看護学生)などと感想を述べていた。

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