新設組合の開業を妨げているのは誰なのか

世論を誤導する重大な挑戦


 産経新聞7月2日付は、「朝鮮総連 日本人理事長を拒否」との見出しで、在日同胞民族金融機関の業務開始と関連して、世論を甚だしく誤導し、ひいては同胞社会にくさびを打ち込もうとする記事を掲載した。

 虚偽とねつ造でつづられた謀略記事の中でもとくに許せないのは、産経新聞が新設組合の定款にもない日本人理事長の問題を加えて、常勤理事とともに日本人理事長の登用を既成の事実であるかのように作り上げただけでなく、組合の業務開始が遅れている問題の本質を意図的にわい曲していることである。

在日同胞が深く憂慮

 わが民族金融機関に日本人理事長を就任させる問題について、組合員や広範な同胞たちの間で歓迎する人がいないことは明白だ。

 新設組合の組合員と同胞らは、組合の定款に、常勤理事に日本人を就任させる異例の附記事項を加えろという金融当局の要求も、本意ではないが、組合の迅速な開業のために仕方なく受け入れた。

 そこへもって今回は、組合員の総意に基づき設立総会で民主主義的に選出され、また当局も認めた理事長をあくまで退かせ、附記事項にない日本人理事長の登用を公的資金投入の「条件」に掲げ、これを強圧的に要求したことについて、組合員と同胞は驚きと義憤を禁じえないでいる。

 組合員らは、民族金融機関の実態にそぐわず、常識にも反するとんでもない「条件」を頑(がん)として要求する日本当局の姿勢から、何らかの「政治的意図」を感じ、深く憂慮している。

 公的資金投入問題について言えば、これは「預金保険法」の特例法に基づき、破たん組合の預金の全額保護のために立てられた対策であり、受皿組合に対する措置である。

 わが新設組合は「中小企業等協同組合法」によって設立され、すでに事業譲受のための適格性も正式に認定された。

 適格性が認められた時点で、当然「預金保険法」に基づいて公的資金が投入されなければならない。

 ここにはいかなる不公正な条件も付けられるはずはない。

 まして、新設組合は当局が要求した定款の附記事項に従って、組合のいわゆる「透明性」と「独自性」を図るため、日本人を常勤理事に受け入れる措置も取った。にもかかわらず、当局はあれこれと口実を設けて、新設組合の業務開始を何度も遅らせ、同胞組合員らで構成された民族金融機関の融資担当常勤理事とともに、経営責任者である理事長までも日本人が就任しなければならないとして、わが民族金融機関を一体どこへもっていこうとしているのか。

 組合員と広範な同胞らはここに、この問題の本質と重大さを見ている。

 事実がこうであるにもかかわらず、いかにも総聯が反対したことで新設組合の業務開始が遅れているかのように誤導するのは、虚偽に満ちた、あまりにも悪質な世論操作である。

法に基づき開業迅速に

 新設組合が金融庁の指導・監督のもとに、すでに開業のためのすべての準備を整えていることは周知の事実である。伝えられるところによると、破たん組合の管財人らも当局が開業を遅らせていることに疑問を示しながら、新設組合の迅速な開業を金融庁に請願しているという。

 しかし、共和国と総聯に対する偏見を持ったごく一部の日本の国会議員らの「政治的圧力」によって、行政が影響を受け、法的な手続きと定款にも反して人為的に開業が遅れている。

 果たして、これが法治国家を自負する日本で許される正常な事だと言えるだろうか。

 産経新聞はわい曲記事を通じて、日本人理事長登用問題に関して同胞社会に何らかの意見の相違があるかのようにでっち上げ、くさびを打ち込もうとしているが、これは事実と異なる謀略的な中傷である。

 新設組合が開業のためのすべての準備を滞りなく整えたこの段階にきて、当局が金融機関の存続と組合員らの生存に関する問題を握って揺すぶりながら、強く迫る態度に出ていることに、一部関係者は焦燥感を抱き、いわゆる「譲歩」を選択しようとしたとして、彼らが日本人理事長の登用を望ましい選択、組合の正常な状態と見ているのでは決してない。

 一方では国家権力を背景に強圧を加え追い込みながら、また一方では謀略で離間を企てる統治者の常とう手法に沿って、産経新聞は一体いかなる意図で、誰の意思を代弁して世論の誤導に奔走しているのか。

 新設組合の開業が遅延している原因は、全的に「政治的圧力」による無理難題を押し付ける当局の強圧的な要求にあることは、あまりにも明白だ。

 われわれは、現時点における問題の解決方途は、日本当局があくまで日本の金融関連法と、すでに下した適格性認定に基づいて公正に公的資金を投入し、新設組合が一日も早く業務を開始できるよう措置を取ることだと見る。

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