温かい声援送った平壌市民


 【平壌発=本社金志永記者】朝鮮民族の気概をとどろかせたサッカーチームの活躍に、平壌市民たちは温かい声援を送った。第17回ワールドカップ大会で南朝鮮チームは、欧州の強豪チームを破り「4強」進出という快挙を成し遂げた。平壌市民たちは同族の勝利に、限りない民族的誇りを覚えながら、何ものにも代えがたい同族のきずなを確認していた。

「変わった時代」

 朝鮮中央テレビは6月1日、前日に行われた開幕試合、フランス―セネガル戦を放映して以来、毎日夕、ワールドカップの消息を伝える番組を制作。1日に1つか2つの試合を選んで編集し放映してきた。

 サッカーは朝鮮で今も、もっとも人気のあるスポーツのひとつである。平壌市民たちは、世界的水準のサッカー試合を見逃すまいと、夕方のテレビ放映時間までに家路につくのがこの期間、定例になってしまったようでもある。

 南朝鮮がスペインに勝ち「4強」進出を決めた22日、中央テレビでは南朝鮮とイタリアの試合が、また後日スペインとの試合が放映された。いつもなら、出場選手たちの技術などに注目し、勝敗にはそれほど関心を払わない視聴者たちも、イタリア戦で「南朝鮮が2―1で勝ちました」というアナウンサーの最後の一言に歓声を上げていた。

 この間、西側諸国では、朝鮮でワールドカップの試合が放映されても、南朝鮮の試合だけは放映されないだろうという「憶測」が流布されていた。「21世紀のアジアは欧州や米国にも負けない。時代は確実に変わっている」。南朝鮮の試合が放映されたことについて、朝鮮のあるテレビ関係者はこのように語った。

老若男女が話題に

 ワールドカップの放映は市民たちの間に反響を巻き起こしたが、当初はサッカーファンや青年学生たちが「熱狂的な視聴者」の中心だった。南朝鮮が決勝トーナメントを勝ち進んでいるという消息が伝えられはじめてから状況が変わった。老若男女を問わずサッカーを話題にし始めたのだ。

 「同じ民族、わが同胞チームが勝利したことに対して歓迎し祝福するのは当然のことだ」

 これは平壌市民たちの一般的な思いである。市民たちは南朝鮮の奮闘に賛辞を惜しまず、朝鮮民族の伝統について広く考えていた。

 6月に入りテレビでは1966年に行われた第8回ワールドカップで「8強」進出を果たした朝鮮チームの活躍を振り返る番組が何回か放映された。ワールドカップ史上「8強」以上の高い段階に上がったのは、アジアにおいて北南朝鮮だけである。

 「2つを合わせれば大きな1つになる」

 サッカーファンを自称するある大学生は、今北で広く愛唱されている歌「われわれは一つ」の歌詞を引きながら、「統一強盛大国」に対する思いを披れきした。

 平壌市民たちは、南朝鮮チームの活躍を目にしながら自分の感情をそのまま表現し、誰はばかることなく声援を送ることができたのは、6.15共同宣言の発表があったからだと、異口同音に語っていた。

 「われわれは感動と喜びをともに分かち合うことができる同族。思想と制度の差を乗り越え、十分にひとつになることができる」

 2002年6月、平壌市民たちはテレビの画面に注いだ熱い思いを振り返りながら、6.15共同宣言の正当性とその生活力をふたたび感じ取っていた。

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