取材ノート

W杯の熱気、統一へ


 6.15共同宣言から2周年が経った6月15日、東京朝鮮中高級学校で行われた文化祭のテーマは、「統一」だった。折りしも世間は、サッカーW杯真っ只中。猫も杓子も連日の超人プレーに熱狂するなか、朝高生たちも例外ではなかった。

 男子生徒は誰しもイングランド代表選手の髪型をまねた、「ベッカムヘアー」。訪れた日本の高校生とサッカー談義に高じていた1人は、「南朝鮮代表の活躍は、ぞくぞくするほどの興奮。僕にも『民族の血』が流れていることを実感した。次回のW杯には、ぜひ統一チームで出場してほしい」。

 一方、同月18日の、南朝鮮対イタリア戦。勝利の瞬間、「ユー・リメンバー・1966?(1966年W杯で朝鮮がイタリアを下し、アジア初のベスト8入りを決めた時のことを覚えているか?)」と書かれたプラカードを掲げる南朝鮮サポーターの姿が世界中に報じられた。コリアンタウンが広がる新宿・職安通りには、南朝鮮留学生、在日同胞らも大勢詰めかけ、「統一旗」を掲げて応援したという。駆けつけた在日の友人は、「南朝鮮留学生と肩を組み、『アリラン』を合唱した。これほど民族の誇り、一体感を感じたことはない」と涙を流した。

 朝鮮の李光根サッカー協会会長は同月30日、南朝鮮サッカー協会の鄭夢準会長に手紙を送り、「同胞に喜びを与えた民族共同の勝利」と賛辞を述べた。「アリラン祭典」でにぎわう北の人々も、「ウリヌン ハナ(私たちは1つ)」を歌いながら民族の栄誉をたたえているに違いない。

 「国民的スポーツ」としてわが朝鮮民族に親しまれてきたサッカーで、アジア初、世界の第4位に輝いた南朝鮮の快進撃は、北、南そして日本をはじめ世界中のコリアンをひとつにした歴史に残る一幕だった。W杯が幕を閉じた今、その熱気をそのまま6.15共同宣言の履行、統一への原動力にしたいと思う。(花)

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