総聯活動支え子供を朝鮮人に
日本人妻の親ぼく会「長友会」
埼玉県北部の23市町村を網羅する総聯埼玉・北部支部管下には、1世同胞と結婚した日本人妻たちの親ぼく会「長友会」がある。今年5月、同会メンバーが初めて団を組み、朝鮮を訪問した。会員は現在、16人。総聯支部委員長、分会長など総聯の愛国愛族運動に尽くした夫を長年、支える一方、全員が子どもたちを朝鮮学校に送り育て上げた。
15年前に結成 「長友会」が結成されたのは15年前。当時のメンバーの平均年齢は60代前半で、子どもが学校を卒業して成長、空いた時間を利用して親ぼくを深めようと、集うようになったのが始まりだった。
同会では発足後、新年会や春と秋の旅行会、忘年会など機会あるたびに集ってきたが、とくに昨年からは総聯、女性同盟支部の協力により、1〜2カ月に1度、定期的に深谷市内の飲食店で集いを持つようになった。 車での送迎、連絡などは支部が受け持ち、毎回、集まれば昔の思い出や、孫の話などで盛り上がる。 しかし、彼女たちの生活は決して平たんなものではなかった。 メンバーの中には深谷市原郷にある通称、「サンマルゴ(番地の305のこと)」と呼ばれるトンネに嫁いだ人もいる。 1946年、20歳の時に「サンマルゴ」に嫁いだ金恵子さん(77)は、「食べ物をはじめありとあらゆることの習慣が違ったが、みようみまねで近所のオモニたちからキムチの作り方などを習った。当初、親せきなどからは『なぜ朝鮮人の家に嫁ぐのか』と言われたこともあるが、私たちは同胞と一緒に苦労を共にしてきたことを誇りに思っている。『朝鮮の日本人です』」と語る。 同じく同所に嫁いだ「登美子さん(72)。「分会事務所での成人学校(朝鮮語教室)や、朝鮮学校に通った子どもから朝鮮語を学んだ。簡単な会話なら話せる」。 またオモニたちは、子どもたちが通う埼玉朝鮮初中級学校の建設時には少しでも役に立てればと、石鹸や実家などから送ってもらったミカン、リンゴなどを売り歩いたという。 これまで2回にわたって在朝日本人妻が里帰りのため日本を訪れたが、その時に家族・親せきとの再会を果たすことができなかった人もいた。その事実を知った「長友会」のメンバーは、彼女らのために食事会などを催し、住む所は違っても「同じ気持ちで夫に尽くし、朝鮮を支持する心」を確認し合ったという。 夫が愛した祖国 今年5月(23〜30日)、初めて「総聯埼玉県北部支部日本人妻訪問団」として朝鮮を訪れた。
「夫がどうして祖国を愛し、祖国のためにすべてを投げ打って尽くしたのか、それを自分の目で確かめたかった」と、会の呼びかけ人で、副責任者を務める金和子さん(75、鴻巣在住)は言う。 滞在中、一行は平壌市内各所を見学し、妙香山や板門店などを訪れたほか、大マスゲーム・芸術公演「アリラン」を観覧した。 6月22日の集いでは、その訪問記をパンフレットにまとめて報告。 尹久子さん(74、岡部市在住)は、「金日成主席の万景台の故郷の家は、話や写真では知っていたが、実際に訪れて見ると、主席がいかに偉大だったかをあらためて感じることができた。それに国際親善展覧館に、埼玉県内の多くの日本の著名人士からのプレゼントが展示されていることには驚いた」と話す。 会の責任者、林マツさん(80、深谷市在住)はこれまでを振り返りながら、「悔いのない人生だった」と述べていた。(羅基哲記者) |