取材ノート

W杯共催から見えるもの


 ワールドカップ一色である。普段、見れない世界トップクラスの技が目の当たりにできるとあっては、その興奮もわかる。サッカーよりも野球、の記者にとってもワールドカップだけは特別で、ついついテレビに見入ってしまう。

 なにも記者だけに限らないようだ。14日の「韓国・ポルトガル戦」終了後、「なぜこの人が?」と思うスポーツ音痴の知り合いから電話がかかってきて、「勝った。本当によかった」と一言。かと思えば、チケット騒動のなかで、取材の恩恵に浴した人もいた。その御仁もスポーツ音痴。「何を書くんですか」と尋ねると「コラム」との返答。どういう内容になるのか、今から楽しみだ。

 今回の大会はいうまでもなく「韓日共催」である。ところが、日本のテレビが南朝鮮の予選リーグの試合を実況放映したのは4日のポーランド戦だけである。ある朝鮮問題研究者は、「パートナーに対して失礼ではないか」と、ラジオ実況の「国営放送」に抗議電話をしたという。「共催」の難しさといえばそうかも知れないが、それとは別に、朝鮮民族に対する日本の「感情」を思い起こしてしまうのは記者1人だけだろうか。

 と思っていたら、同じような思いを抱いている日本人もいた。

 在京某紙の朝鮮問題担当記者。編集局で「韓国・米国戦」を観戦していた同僚のほとんどが米国を応援している事実を知って、がく然としてしまったという。「個人個人の好みだから決め付けるわけにはいかないが」と前置きしながらも、「韓国よりも米国、アジアよりも欧米、日本人の性根は直らないのかな」と慨嘆する。

 「お祭り騒ぎの後のなんとやらにならないためにも、やはり事実を踏まえたうえで、そしてそれを解きほぐしていくような関係を築いていかなければ」と、さらに慨嘆することしきりだった。(正)

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