取材ノート

仕事は楽しく


 「1にエンジョイ、2にフリーダム(自由)、3にシビア」。下関市でベーカリーショップ3店を営む李光武さんのモットーだ。

 仕事は楽しく、自由にのびのびとやるべきだが、厳しさを忘れてはならないということだ。「みんなエンジョイはできるんだけど、シビアがなかなかむずかしい」

 パン職人といえば、朝は早く仕事もきつい。苦労の多い業界だけに、若い職人がなかなか育たないとも言われる。そんな厳しい現場で15年間も働き続けてきただけに、発言にも重みがある。

 「職場は戦場と思え、命をかけて仕事しろ」と、従業員にはっぱをかけることもしばしばだ。

 パン屋といえば、主婦のパートが多い職場だが、李さんの目から見ても、男女の能力の差はまったくないという。女性パートの中には1日10時間働いている人もいる。李さんの方も、できる女性はどんどん鍛える。

 しかし、彼女たちには、「稼いだお金の半分は自分のために使いなさい」と言うのだそうだ。「彼女たちにも、生活のためだけでなく、エンジョイするために働いていることを知ってほしい」からだ。

 仕事を楽しむ余裕があってこそ、長く続けられるし、よりよくするための発想も生まれる。そんなことを長年の経験から身につけたのだろうと、勝手に推測した。

 そんな李さんだからこそ、「金もうけだけではなく、ほかにやることもあるのじゃないか」と考えている。今、大切だと思うのは朝鮮半島の人々との交流。南の人々とも接触する機会が多いという李さんは、「祖国統一意識調査」をやってみたいという。

 統一のためにはどうしたらよいのか、そんなことを朝鮮半島の人々と在日が一緒に考える場があれば…。

 最後には、取材そっちのけでそんな話題に話が咲いた。(聖)

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