春・夏・秋・冬

 いよいよサッカーワールドカップが開幕した。これから1カ月ほど、ちまたはサッカー一色になるのだろう。たしかに、トッティやベッカム、ジダンなど、世界の一流選手の妙技を間近で見られることなど、そうざらにあるわけではない。なんだかんだいっても、お祭り気分で楽しめるはずだ

▼とはいえ、しっくりこない点がひとつある。最近、日本人数人と話していたときのこと。やはり話題はW杯に。そこで出てきたのが、「なぜコリアジャパンなのか、ジャパンコリアにすべきではないのか」「日本は単独開催でも十分にいけたはずだ」――。今回の「日韓共催」で両政府は「親善」「友好」をアピールするが、一方でこんな 本音 を吐く人もいる

▼南のW杯組織委員会の鄭夢準委員長は、日本と南朝鮮の関係について「思ったように改善しなかった」と、偽らざる心境を語った。歴史教科書問題、小泉首相の靖国神社参拝など、過去を「美化」する動きが共催に水をさしたというべきだろう。「日本の政治は国内だけに目が向いており、閉鎖的」と鄭委員長は辛らつだ

▼芸能人の共演や文化交流、「国境を越えた愛」をテーマにしたドラマなどで盛り上げてはみても、それは表面的な動きに過ぎないのではないか。これを機会に日本が過去をきちんと謝罪する姿勢で臨んだならば、また違っただろう。しかし、昨今の情勢を見ると、時代に逆行しているとしか思えない。靖国参拝しかり、有事法制しかりである

▼そう考えると今回のW杯。「祭りだとうかれてばかりいもいられない」と感じてしまうのだ。(聖)

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