春・夏・秋・冬

 欧州を歴訪しているブッシュ米大統領は、各地で反米デモの洗礼を受けている。ドイツでは2日間にわたって2万人以上が参加した。「対テロ戦争はすぐにやめよ」と訴える参加者たち。同じような光景は、フランスでも見られた

▼アラブ諸国と陸続きの欧州は、米国のように簡単に「ならず者国家」のレッテルをはり、けんかを売るわけにはいかない。いかに共存していくかを考える。ドイツやフランスに住むアラブ系移民が、貴重な労働力になっているのは周知の事実だ

▼加えて、欧州諸国がもはや米国の言いなりにはならないことを如実に示しているものといえる。根底には、米国の外交・環境政策などへの批判がある。京都議定書からの一方的な脱退、「9.11」報復を目的としたアフガニスタン空爆、そして朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と決めつけるごう慢さ。今回、ブッシュ大統領はシラク大統領との会談で、「(イラクとの)戦争計画はまだない」と説明したそうだが、これもフランスに気を使ってのことだろう。その舌の根も乾かぬうちに、「フセイン政権打倒が米国の方針」と述べているからだ

▼こうした米政権の一人よがりの政策に対して、非難の目を向けているのは欧州だけではない。米国通の先輩ジャーナリストによると、最近では国内のマスコミからも「反省」の声が出ているという。自国一辺倒の記事に対する反省だ

▼くだんの先輩は言う。「米国内にはそういった自助能力がある。心配なのは、米国の言いなりになって危険な方向に進んで後戻りが効かない小泉政権だ」(聖)

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