「楽しい時間を」

音楽療法士目指す 金由里さん


 昨年3月に朝大教育学部音楽科を卒業した金由里さん(21)は現在、音楽療法士目指して週1回、専門学校「FMTコミュニティーカレッジ」で学んでいる。

 障害者の機能回復、高齢者の痴ほうの進行抑制などに効果があると言われる音楽療法。音楽を通じて生理的、心理的に刺激を与えることによって生活面での向上を目指すようにする。第2次世界大戦後の米国で、帰還兵の後遺症治療をきっかけに研究が進んだとされる。

 「幼いころから音楽が好きで、音楽で身を立てたいと思っていた」という金さん。音楽療法士を目指したのは、「人のために音楽を活用したかったから」だ。朝大研究院に在籍する先輩の影響も大きかった。

 音楽療法士になるには、日本音楽療法学会から資格認定を受ける。資格をとるための勉強には、医学的なもの、生理的なもの、心理的なものがある。プログラムの作り方やアセスメントの仕方など、実践面での学習も行う。

 資格取得のためには、臨床や研究発表、講習会参加などを通じて規定のポイントを獲得する必要がある。

 金さんは、特別養護老人ホームと障害者施設のある員光(かじみつ)園で、週に1度アシスタントを務める。道のりは長いが、音楽セラピストになるという決意は固い。4月からは山口朝高で音楽講師を始めた。

 昨年10月に下関初中で行った音楽セラピーのプログラムはすべて、金さん自身が考えたという。

 「リーダーとしてやるのは初めてだったけど、子どもたちの中から自分が思った反応が出てきてとても勉強になった」

 資格を取得したあかつきには、「障害者、同胞高齢者たちが少しでも楽しい時間を過ごせるよう、精一杯がんばりたい」。(聖)

日本語版TOPページ