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昨年9月11日のニューヨーク貿易センタービル襲撃事件を境に、時空間がその前と後に分割されてしまったような錯覚に陥ることがある。「朝起きて食事をし職場に出かけるという、何年間も繰り返されてきた生活が、事件後は恐怖が先に立ち、日常の1コマという感覚ではなくなってしまった」。現場で取材していたカメラマンの夫を亡くした女性の話だが、彼女にとって時空間の分割は現実だろう
▼この襲撃事件を巡って、ブッシュ大統領の「疑惑」が米政界で持ち上がっている。ヒラリー上院議員(クリントン前大統領夫人)らが追及の急先鋒で、「大統領は事件を事前に知っていながら、放置していた」というもの ▼確かに「航空機ハイジャック犯によるテロの可能性が9月にある」とか、「多数のアルカイダメンバーと思われる者たちがパイロット免許取得のために専門学校に通っている」というFBI情報がブッシュの元に届けられていたという事実からすると、「9.11」事件には、ホワイトハウスが加担していたということになる ▼ではなぜ? ということになるが、1つはブッシュ一族の家業と関わるカスピ海の石油利権の独占、もう1つは、今進めている「テロとの全面戦争」に名を借りた、米国を軸とした世界秩序の確立、と解説する向きが多い。それにしても、なんということを、と凡人は呆気にとられるほかはない ▼が、60年代、ベトナム・トンキン湾事件ねつ造や、70年代のウォーターゲート事件など歴史に刻まれた「大統領の陰謀」には枚挙のいとまがない。それが米国だ。(彦) |