第5回平壌国際商品展示会を参観

海外取材PRセンターの栗原健さん


 本紙既報のように6〜9日、平壌市内の3大革命展示館で開催された第5回平壌国際商品展示会(主催=朝鮮国際展覧社)。イギリスやドイツなどのヨーロッパ各国、中国、タイ、シンガポール、日本、ロシアなど15の国と地域から160余の企業が参加した。4月27日から5月11日まで訪朝し、展示会を参観した海外取材PRセンター(東京・渋谷区)の栗原健さん(52)に感想を聞いた。なお同センターは、朝鮮国家観光総局の委任を受けて日本で同総局のインターネット・ホームページを作成し、朝鮮観光の宣伝にも努めている。(写真は海外取材PRセンター提供)

「最前線」を目の当たりに

 栗原さんはこれまで、10回近くの訪朝経験を持つが、展示会を見るのは今回が初めてだった。

中国企業のブース。今展示会全体の6割近くを占めていた

 「まず驚いたのは、朝早くから展示会場に詰め掛けた朝鮮のビジネスマンの数の多さ、熱心さ。朝鮮ビジネスの最前線を目の当たりにするという貴重な体験をした」

 「現在、朝鮮では『強盛大国』建設、とくにコンピュータ技術をテコにした経済発展に力を入れていると聞いていたが、現地の人の熱心に会場を見て回る姿からそのことを実感した。日本では、朝鮮といえば暗い印象しか伝えられていないが、事実はまったく逆で生き生きとしていた」

 栗原さんの見た目には展示ブースは50余りに映ったが、そのなかでひときわ目についたのが中国企業の割合だった。「全体の6割近くを占め、遼寧省丹東など、朝鮮に距離的に近い地域が多かったように感じた」。

 中国企業の展示品はトラック、ダンプ、道路整備機器、工事用機械・器具が主で、なかには電線やヘルメット、タバコも。さらに中国製のフォルクスワーゲン「上海ジェッタ」の姿もあった。

将来見すえるヨーロッパ

 また、栗原さんが関心を持ったのは清津市北方、朝中国境に位置する羅先地域に進出しているタイ・ロックスレー社のブースだった。その一部には朝鮮逓信省も入っていたというが、パソコンの展示、操作に始まり、とくに興味を持ったのが携帯電話だった。

展示館前の広場に展示された中国企業のトラック、乗用車

 「ブースにいた逓信省の関係者に話を聞くと、8月から試験段階に入り10月を目途に一般利用に踏み切りたいといっていた。実際、その人は米・モトローラー製の携帯を所持していた。逓信省内で試験をやっているのではないか」

 一方、ヨーロッパ各国の積極さも肌で伝わってきたという。現状ではすぐにビジネスにはつながらないが5年、10年後の将来を見すえた先行投資、朝鮮市場に寄せる熱い視線を感じた。

 「これに比べてがく然としたのは日本だ」。参加したのはブラザー、JUKIのミシン会社2社と鳥取県のみだった。「昨年は日本鋼管なども参加したというが、今年はおそらく政治的な状況を配慮し二の足を踏んだのだろう。積極性という点においては中国、ヨーロッパとは比較にはならない。近くて近い隣国でありながら、いざ進出という時には、『すでに遅し』になってしまう」。

「アリラン」にも中国から大挙

 時折しも、朝鮮では大マスゲーム・芸術公演「アリラン」が開幕した直後だった。栗原さんの訪朝の目的の1つも、この「アリラン」観光にあった。

 「展示会と同じだが、目についたのが中国からの観光客。新義州には1日にバスで150人近くがやってくるという話だった。そして新義州から平壌まで鉄道を利用して、車両貸し切りでやってきて『アリラン』観光を楽しんでいた。なかには、大連の工場に派遣されている日本人家族も見受けられた。休暇をもらったが、日本に帰るよりも『アリラン』ということになったらしい。盛況だった」

 5月1日はメーデーで朝鮮は祝日。ともに訪朝したビデオ制作会社のスタッフと連れ立って牡丹峰を散歩した。

 「みんな祝日を満喫していた。家族や職場の者同士、グループで繰り出して弁当を広げたり踊りに興じたり…。私も誘われて見よう見まねで朝鮮の踊りを楽しんだ。こうした光景に、初訪朝だった制作会社のスタッフは目を『白黒』。『百聞は一見に如かず』。実際、肌で触れることが本当に大切だということを認識したようだった」(厳正彦記者)

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 海外取材PRセンターが作成している朝鮮国家観光総局のホームページ上で、同展覧会の模様や6月10日から羅先地域で開催される国際展示会の案内などが紹介されている。同ホームページ・アドレスはhttp://www.dprknta.com/

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