1人でも多くの子どもにウリマルと文化知る機会を

大分県で初めて土曜児童教室が開講


 大分県では初めてとなる土曜児童教室が18日、開講した。県内に朝鮮学校がない条件のもとでウリマル(母国語)能力を高め、民族性を養うためにと、学齢期の子どもを持つ青商会のメンバーが昨年から準備してきた。今後、大分市、別府市在住の同胞子女を対象に月1回、第3土曜日に行われる。

「児童教室開講の集い」に集まった子どもと親たち

 「もう帰るん? もっといたい」「楽しい。先生もやさしいし、歌も楽しい」

 この日、教室に集まった4人の子どもたちは「ア、ヤ、オ、ヨ」に始まるウリマルや朝鮮の歌を楽しく学んだ。講師は朝銀西信用組合大分支店に勤務する池明華さん(23)だ。

 「この教室をきっかけに、大分に住む同胞の子どもたちが、朝鮮の言葉や文化を学んでくれたら」「もっと多くの子どもたちが参加すればもっと楽しくなるでしょう。私も知り合いの方に声をかけてみます」「子どもたちが楽しく学んでいる姿を見て、なんだかホッとしました」。子どもたちの姿を見守っていたオモニ(母親)たちはこう感想を述べていた。

 準備を進めてきたアボジ(父親)たちも、「とりあえずスタートしたので、これから、自分たちの責任感が問われる」「1人でも多くの同胞子女を網羅して、活気ある教室にしたい」と抱負を語っていた。

近くに学校あれば

 土曜児童教室開講にあたっては、陳泰光会長(38、自営業)をはじめ青商会のメンバーが昨年から討議を重ね、準備を進めてきた。

 青商会世代といえば、子どもたちがちょうど学齢期を迎える。そのため、民族教育についても自然と関心を持つようになる。

「ウリマルの勉強は楽しい」と子どもたち

 しかし、大分のように県内にウリハッキョがない場合はどうすればいいのか。1番近い福岡の学校でも寮に入れなければならないが、初級部低学年から寮に入れるのは、やはり親としては抵抗がある。

 「ウリハッキョが近くにあれば入れる人も多いと思う」と陳会長が語るように、子どもたちに民族教育を受けさせたいとの思いは共通している。

 だったら、土曜児童教室のような場ができれば、言葉や歌も習えるし民族性も養えるのではないか。酒席でそんな提案が出たところ、メンバー全員が二つ返事で賛成した。

 「やはりアッパ(お父さん)、オンマ(お母さん)と呼んでほしい」と陳会長。

 長女が今年日本の小学校に入学したという崔正浩青商会副会長(35、自営業)は、「できればセットンチョゴリを着せて入学式に参加する姿を見たかった」と話す。

 そんな思いがぎょう縮された場だからこそ、開講にこぎつけた意味も大きい。

民族性絶やさない

 「大分、別府に住む同胞子女なら誰でも来てほしい」と陳会長は強調する。「私自身はウリハッキョ出身だけど、日本の学校出身者の人の思いを聞く機会にもなれば。子どもたちの輪だけでなく、親同士の輪も広がればと思う」

 「1、2世が苦労して守ってきた民族性を絶やさないためにも、児童教室は続けていくべきだ。朝鮮人として生きていくことは幸せだということを、自分の子どもに教えたい」。崔副会長は、娘が中学校に上がる時には特急に乗せて福岡のウリハッキョに通わせることも考えている。(文聖姫記者)

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