外交樹立から1年、朝鮮―EU間着実に進展

政治、経済など幅広い分野で


 朝鮮とEUの間で国交が結ばれて1年になる。昨年5月14日、公式に外交関係を結んだ朝鮮とEUはその間、さまざまな分野で交流を行い変化する情勢の中でお互いの関係をさらに深めつつある。ブッシュ米政権による「悪の枢軸」論にもかかわらず朝鮮―EU間の関係は着実に進展している。

活発化する人的往来

 関係が正常化されて1年を迎え、朝鮮とEUの関係はさらに発展している。今回で5回目となる平壌国際商品展覧会(5日〜9日)で、EU加盟国であるイタリア、スウェーデン、ドイツ、英国の各企業が商品を展示した。また今回初めてヨーロッパ金融投資グループも参加した。この会社は鉄道、道路、病院、公共建物、大学、電力、電波防止網など朝鮮に投資しようという各企業の投資と計画立案などについてアドバイスをする企業。

 「直接投資が難しい企業を助けることで、朝鮮との活発な経済協力を可能にしようというのが私たちの考えだ」と、ヨーロッパ金融投資グループのコマルティノ・シュエラ氏は話す。

 このような民間レベルでの経済交流とともに、EUは昨年5月朝鮮との非公式外相会議で、金融、エネルギー面での技術支援を約束している。一方で人道主義面や農業復旧のための共助もなされており、多方面での交流、共助が活発になっている。ドイツは昨年11月、朝鮮に対する人道主義援助物資として6000トンの冷凍牛肉を提供し、これに先立つ9月には平壌―ユーロアジア合弁会社が朝鮮に野菜温室の建設に着手した。EU加盟国ではないものの、スイスからも冷凍牛肉が送られるなど、朝鮮に対する世界的な共助の流れが作られている。

 こうした経済交流は、朝鮮とEUとの間に外交関係を樹立した後、高位級代表団の相互交流の拡大、大使の相互交換など政治分野での共助によって担保され発展している。この5月だけを見ても、オランダのユーロ―アジアグループ、ドイツ―朝鮮議員グループ代表団などが平壌を訪問し、朝鮮からも金策工業総合大学代表団がオーストリアとドイツを訪問している。

一極支配から多極化へ

 朝鮮でもEUとの関係を重視している。

 3日付の労働新聞は「朝鮮―EU関係発展の転換的契機」というタイトルの論評を掲載し、世界的に見てEUは1つの大きな軸になるとしながら、米国による世界の一極支配に反対し世界の多極化を目指しながら、政治、経済、安保、外交分野などで独自性を強化しているEUを評価している。また、それらを土台に地域問題を独自性に基づいて自ら解決していこうとする姿勢に対しても注目している。

 そのうえで労働新聞はEUの展開する事業に成果があることを願いつつ、朝鮮とEU双方の利益と新世紀の要求に沿って関係を発展、強化させようと結んだ。

 ここでいう双方の利益と新世紀の要求とは、米国の一極支配に反対し、地域問題を自らが解決しようというものだ。EUはイラクやイスラエルなどでの地域問題に対して米国とは対照的なスタンスを取っており、朝鮮は6.15共同宣言に基づいて北と南の民族が力を合わせ朝鮮の統一を成し遂げようとしている。朝鮮半島での平和統一実現については、EUも昨年の最高位級代表団の平壌訪問時に6.15共同宣言への支持と履行を後押しするという立場を強調している。

 朝鮮とEUの間ではこの1年間を通して政治、経済など多方面で交流が活発になり、双方の関係はこれからもいっそう強化されることが見込まれる。朝鮮とEUの関係強化は、世界の一極支配をもくろむブッシュ米政権にとって大きな痛手になるとともに、世界の各国、各地域で独自性を発揮し、多極化へと向かう新世紀の潮流をより確かなものにするだろう。

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