医療−最前線

薬の前に見直すこと


 今、病院や薬局の待合室では、血圧計がよく置かれている。

 正しい血圧を計るには、測る姿勢も大事である。必ず座って、血圧計は心臓の高さに置いて測ることを心掛けよう。

 心臓は収縮している時が血圧が最も高く、拡張している時が最も低い。上が100〜139、下が60〜89程度の人が長生きである。自分の体調を知るうえでも、普段の自分の血圧を知っていると健康を維持するうえでもいい。

 日本では高血圧症は、もっとも多い病気の1つであり、総人口の15%を占める。脳卒中、心臓病、腎臓病など死につながる病気を知らない間に進行させるものだ。

 血圧は刻々と変化し、緊張したときや、急いで走った時など高くなる。寒さやストレス、運動時には心臓を早く力強く収縮させ、血液を筋肉にたくさん送り出す。

 長期的には食塩を多くとると血圧が上がる。肥満や甲状腺ホルモンなどの影響でも上がる。

 体内に塩が多くはいると水を血管内に引きつけ、血液中の水分が増える。このため体は塩分と水を早く押し出そうとして、血圧が上がる。みそやしょうゆなど塩辛いものだけでなく、薄味でも多くとると、塩分が多く体内に入るので注意すること。寒い地方では昔から塩の摂取量が多い。この病気の人が多いのも、食生活の影響が強いと思われる。

 高血圧症は薬を頼る前に、じっくり普段の暮らしぶりを見直すこと。日常生活の過ごし方と深く関わりがある。まず、血圧を下げる要因を見つけ、取り除く努力を。
(李秀一・医療従事者)

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