意義ある国際協議機構合意
日本の過去清算求める平壌シンポ参加者ら東京などで報告会
5月3、4日に北南朝鮮、米、中など8カ国・地域から日本軍の性奴隷被害者をはじめとする戦争被害者、その支援者らが参加して開かれた「日本の過去の清算を求める平壌国際シンポ」。日本からは土屋公献・元日本弁護士連合会会長を団長に57人が参加した。17日、東京・九段で行われた報告会では、土屋氏や石毛^子・衆議院議員(民主党)など参加者らが発言し、シンポの意義について再確認し合った。
戦後補償の空白地帯 今回のシンポの意義は何よりも、日本の過去清算を追及する国際的な協議機構を発足していくことで合意した点だ。朝鮮の「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会(従対委)の洪善玉委員長が基調報告で提案したもので、次回、10月に日本で集いを行うことでも暫定合意した。 戦後補償実現JKネット世話人の金英姫氏は、「日本政府に対する運動の包囲網がさらに広がったことを意味する。昨年に比べて運動自体が大きく前進したといえる」と強調した。 従対委が92年に結成されて以降、こうした国際シンポが朝鮮で開かれるのは初めてのことだ。 フォトジャーナリストの伊藤孝司氏は、国際協議機構を作ろうという案が各国に受け入れられたのは、朝鮮側からなされたという点が大きいと指摘した。その理由について、「いまだに日本政府が賠償も補償も行っていないとはっきり認めているのが唯一朝鮮だからだ」。 「戦後補償の空白地帯」(金英姫氏)朝鮮で開かれたことで、フィリピン、インドネシアなどアジアのほかの国々の戦後補償問題を見直すきっかけ作りにもなったという。 日本の国益のために 石毛^子議員は、昨年11月に民主・共産・社民3党が参議院に共同提案した「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」について紹介したところ、各国の参加者から「法案成立に向けてぜひがんばってほしい」と激励された点について触れた。 石毛氏は、日本の旧軍隊にりょう辱された人々の証言を直接聞きながら、なぜ「国民基金」ではなく、日本の謝罪と補償を求めているのかを身を置き換えて考えてみたという。「何がしかのカネで、女性として、人間としての尊厳があがなえるわけではない」 現在、この法案審議に向けて社民、共産両党の議員と行動している参議院議員の岡崎トミ子氏(民主党)によると、今国会で「審議の運びになったかな」との感触を得ているという。岡崎氏らは、審議と合わせて被害者の声を聞くことの大切さを再三主張してきたが、そういった方向で話が進められていることも報告した。 平壌シンポでも北南朝鮮、インドネシア、フィリピン、台湾の元「従軍慰安婦」が証言した。彼女らは一致して、日本の「国民基金」に対する厳しい批判を展開した。フィリピンのフリア・ポラスさんは、家庭の事情からやむを得ず「基金」を受け取ったが、日本政府の公式謝罪を求める気持ちに変わりはなく、そのため小渕首相(当時)の「お詫びの手紙」を拒否したのだということを話していたという。 金英姫氏は、「日本政府の公式謝罪が心と体の何よりの薬になる」と被害者らが口々に語っていたことを紹介した。 団長の土屋氏は次のように発言した。 「アジアとの友好関係構築は日本の使命だ。そのためには過去をきちんと反省し償い、若い人たちにそのことをきちんと教育すべきだ。平和に暮らすうえで、それは軍備を増強するよりよほど近道だと思う。日本の国益のためにも、今こそ行動しなければならない」 土屋団長ら外務省訪れ小泉首相への手紙伝達
「日本の過去の清算を求める平壌国際シンポ」に参加した団長の土屋公献・元日弁連会長、副団長の大島孝一・戦後補償実現市民基金代表、石毛^子衆院議員、有光健・戦後補償ネット世話人代表は17日、外務省を訪れ、シンポで採択された小泉首相に送る抗議の手紙を伝達した。外務省側からは佐藤重和・アジア大洋州局審議官が応対した。 また、土屋、大島の両氏らは同日、東京・千代田区の朝鮮会館を訪れた。総聯中央の徐萬述議長、許宗萬責任副議長らが一行と歓談した。 |