年金差別、早期解決を

京都・全国集会で訴訟の同胞障害者、支援訴え


 全国集会「黙ってたまるか 在日外国人無年金問題の早期解決を!」が12日、京都市のハートピア京都で行われ、150人が集まった。在日外国人「障害者」の年金訴訟を支える会(代表=仲尾宏、愼英弘)と年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会(代表=李幸宏)が主催した集会では、無年金同胞を放置し続ける日本政府に怒りの声があがった。

 国民年金法の国籍条項が撤廃された1982年、現在40歳以上の外国人障害者と76歳以上の外国人高齢者には経過措置が取られず、彼らは長年にわたって無年金状態を強いられている。主催した両団体は、外国人無年金者を救済するための署名活動や厚生労働省に対する要請、また日本政府が差別を解消するまでの暫定措置として、地方自治体に対して給付金の支給、増額を求めてきた。

京都地裁に訴訟を起こした同胞聴覚障害者は裁判の支援を訴えた〈写真は五十嵐康弘氏提供〉

 今回の全国集会は、日本政府に差別是正を求める世論をさらに盛り上げようと企画されたもので、30近い市民団体が賛同を寄せた。

 集会ではパネラーの田中宏・龍国大学教授、金永子・四国学院大学教授、京都年金訴訟代理人の池上哲朗弁護士、李幸宏代表らが「戦後補償、在日の権利補償から見た年金問題」「ハンセン病裁判、療養所の年金問題」などと題して講演を行った。

 また、00年3月に日本政府に障害年金の支払いを求める訴訟を京都地裁で起こした原告の同胞聴覚障害者7人が会場から裁判への支援を呼びかけた。「国籍条項撤廃時に無年金同胞を救済する経過措置をとらなかったのは国籍による差別」と訴える同胞たちは8月6日、原告尋問に立つ。「たくさんの人たちに傍聴に来てほしい」と訴えた。

 また、会場からは旧日本軍の軍属として負傷、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく障害年金を受けられない不条理を裁判で訴えた姜富中さん(敗訴)や無年金高齢者など発言が相次いだ。

 また、集会にメッセージを寄せた中川智子衆院議員(社民党)は、「在日外国人障害者の無年金問題に対するたたかいは、立法府にいる私たちに突き付けられている課題だ。無年金者が年金を手にできる制度・立法を実現すべきだ」と決意を表明した。

 今後、全国連絡会は、秋に東京で開く集会に向け、総聯、民団などあらゆる団体に呼びかけ、署名運動を展開する。国会議員と懇談の席を持ち、厚生労働省に要請も続けるという。

 【年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会連絡先=兵庫県宝塚市安倉1―17―14 TEL・FAX 0797・86・1356 E―mail LEQ04671@nifty.ne.jp

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