生活相談 きほんの き―5

Q 日本人男性と事実婚 子どもの国籍は?

A 父親が認知しなかった場合母の国籍に
認知した場合時期によって異なる


 民族国籍を持つ在日3世ですが、日本人男性といわゆる「事実上の夫婦」です。今後も「婚姻届」を出すつもりはありませんが、もうすぐ子どもが生まれます。子どもの国籍はどうなりますか?――。

 日本社会では婚姻届を出さない、いわゆる事実婚の夫婦やシングルマザーが増加傾向にあるとのことです。

 同胞法律・生活センターにも、このように婚姻届を出さないカップルの間に生まれた子どもの国籍についての相談が少なからず寄せられています。また、子どもが生まれた後も「認知」はしても婚姻届を出さないカップルも多いように思います。

 若い世代の結婚観やライフスタイルが多様化してきていることを実感します。

 今回のように婚姻届を出していないカップルに子が生まれた場合、子は、まずは「出産」という事実により母親の国籍を取得します。ですから、子は「朝鮮」であれ「韓国」であれ、母親と同じ国籍表示になります。

 この相談の場合、父親が子の「認知」をいつするのかによって、子の国籍は異なってきます。

 子が生まれる前に日本人の父親が「認知」をする「胎児認知」の場合、子は出生と同時に父親の日本国籍も合わせ持つことになり重国籍となります。ですから、子を母親と同じ国籍表示にしたいのであれば、子は日本国籍離脱の手続きをしなければなりません。

 本シリーズの3回目でも詳細に述べましたが、国籍離脱の申請手続きに必要なものは次の通りです。

 ●国籍離脱届(申請窓口に備置されています)●離脱者(子)の戸籍謄本●母親の外国人登録原票記載事項証明書●離脱者(子)の住民票●子が15歳未満の場合、法定代理人あるいは親権者による届出になるので、その資格を有する書面●印鑑

 国籍の離脱が完了すると、子は最寄りの市区町村役場で在留資格と外国人登録の新規申請手続きをする必要があります。

 なお、子が生まれた後に父親が「認知」をする場合、子の国籍に変動はありません。したがって子は母親と同じ国籍表示になります。

 【お詫びとお知らせ】シリーズ3回目の日本国籍離脱申請手続きについての説明のなかで、国籍離脱申請手続きが完了した後、「法務局から送られてくる『通知』を持って、最寄りの市区町村役場で戸籍そう失の届け出をする」、との記載がありましたが、「戸籍そう失届け出」の必要はありません。ここに訂正してお詫びします。

 同胞法律・生活センターでは、在日同胞の国籍に関するさまざまな相談事例を詳しく解説したリーフレットを6月中に出版する予定です。購入を希望される方は、センター事務局までご連絡ください。

 【同胞法律・生活センター 〒110―0015 東京都台東区東上野2―10―14 カナオカビル4F TEL 03・5818・5424 FAX 03・5818・5429】

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