一寸先も見えない
　この地の深い暗闇のなかでも
　鶏よ、お前は
　訪れる夜明けを
　鉄のように信じて
　一声、大きく鳴くのだな

　氷壁が天地を覆い
　激しい嵐が
　肉を刺し　骨を砕く
　この夜のこの地にも
　鶏よ、お前は
　必ずや夜明けが訪れることを
　岩のように確信して
　大胆に
　一声、空高く鳴くのだな

　鶏よ、お前はラッパ手
　お前は先駆者
　お前の一声、暗闇をしりぞけ
　お前の二声、朔風を払いのけ
　お前の三声、夜明けをもたらす

　鶏よ、私も、お前をみならい
　下手を承知で
　この地の夜と寒さを
　歌い上げよう
　鶏よ、笑わないでくれ

　鶏よ、
　勇敢なる太陽の旗手よ、
　どんな環境の中でも
　少しもひるむことなく闘う
　栄光の先駆者よ！
（１９６０年）