春・夏・秋・冬

 色とりどりのフリースで一世を風びしたユニクロ。破竹の勢いで売り上げを伸ばしてきたものの、このところ業績不振にあえいでいる。そのユニクロの次期社長に、若干39歳の玉塚元一氏が就任した

▼玉塚氏は日経流通新聞のインタビュー(9日付)に答え、リーダーとしてやらなければいけない事を5つ挙げている。1つは情熱、2つ目が覚悟、3つ目は現場、4つ目は結果である。順を追って説明すると、熱を持ってやれるのか、そして覚悟があるのか、袖をまくって現場に入っていけるのか、結果につなげる覚悟があるか――ということだという

▼印象的だったのが5つ目で、私欲を捨てること。「私欲を捨て、みんなで会社の組織基盤を作っていく」と、玉塚氏は説明する。しかし、人間、これが1番むずかしい。何をするにも「自分」が先に立ってしまいがちだ。しかも、状況が困難な時ほど、「自分」が頭をもたげる

▼ユニクロに限らず、組織というものは全員が自分の欲得だけで動いていたらうまくいかない。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」ではないが、個人が組織をよくしようとして動いた場合、それは結局自分に帰ってくるのではないだろうか

▼玉塚氏は、「チームとして経営していかないといけない」とも話す。大事なのはチームワーク。たいへんな時こそ、みんなが力を合わせて、ひとつの目標に向かってとにかく進む。そこから、何かが生まれるはずだ。今こそ、組織基盤を整えるため、私利私欲を捨てて奮闘すべき時ではないか、と自戒を込めて思う。(聖)

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