生活相談 きほんの き―4
Q
在日同胞と結婚した日本人配偶者
民族の国籍取得は可能?
A 事実上、取得は非常に困難
「在日同胞と結婚した日本人配偶者は、民族の国籍を取得することができるのでしょうか?」
同胞法律・生活センターに寄せられる国籍に関する相談のなかで、このように在日同胞と日本人の婚姻において、とりわけ妻が日本国籍である場合、その日本人妻が夫と同じ「朝鮮」あるいは「韓国」籍を取得することができるのかどうか、という相談が近年、非常に増えています。 朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)、「韓国」および日本のいずれの国籍法によっても、国籍の変動(国籍の得喪)は認められていません。 では、どうしても日本人配偶者が「朝鮮」あるいは「韓国」籍を取得したいという場合は、どうすればよいのでしょうか。また、取得は可能なのでしょうか。 このシリーズでもたびたび説明してきましたように、日本政府は「共和国国籍法」を認めず、「朝鮮」表示の同胞たちにも一律に「韓国国籍法」を適用して、在日同胞の国籍問題を処理しています。 そのため、ここでも「韓国国籍法」を中心に説明せざるをえません。 「韓国国籍法」第6条によりますと、この質問のように、婚姻による場合は「簡易帰化」による「韓国」籍の取得を認めています。 結婚した状態で2年以上、あるいは婚姻してすでに3年が経過している場合は、結婚した状態で1年以上「韓国」に居住した時に、その外国人配偶者に「簡易帰化」による「韓国」籍の取得を許可しています。 この条文からしますと、在日同胞と婚姻した日本人配偶者の国籍を「朝鮮」、あるいは「韓国」表示にすることは可能なように思われます。 しかし、ほとんどの在日同胞の生活基盤が日本にあることを考えた場合、2年または1年の居住要件を満たすことは、実際には不可能なことと思われます。 ですから、日本人配偶者の国籍取得は事実上、非常に困難といえます。 ここでさらに説明を加えますと、「共和国国籍法」第6条では、「共和国政府への請願」による国籍の取得を認めています。だから、この方法で日本人配偶者が「共和国国籍」を取得することは可能です。 しかしながら、冒頭でも触れましたように、日本政府は「未承認国」であるという理由によって「共和国国籍法」を認めず、在日同胞に一律に「韓国国籍法」を適用しているうえに、「朝鮮籍は『符号』にすぎない」という非常に不当な扱いをしています。 ですから、日本人配偶者がこの「請願」によって「共和国国籍」を取得したとしても、もとの「日本国籍」を離脱することはできません。 よって、結論的に日本人配偶者の民族の国籍取得は、「共和国国籍法」によっても、事実上は困難だといわざるをえません。 【同胞法律・生活センター 〒110―0015 東京都台東区東上野2―10―14 カナオカビル4F TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429】 |