日本の過去清算・アジアシンポ


 3、4の両日、平壌で開かれた「日本の過去清算を要求するアジア地域シンポジウム」で行った朝鮮「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会の洪善玉委員長の報告(要旨)、日本総理に送る抗議の手紙(全文)を以下に紹介する。(朝鮮通信)

国際的な協議機構設け追求

洪善玉・従対委委員長の報告

想像を絶する罪悪

 日本は、19世紀末から20世紀前半期にかけて略奪の侵略戦争を起こし、数百数千万の罪なきアジアの人民を殺りくする蛮行を働いた戦犯国である。

 日本が「明治維新」以後、アジアを征服し、「世界帝国」になる野望のもと、血なまぐさい侵略と戦争を絶え間なく強行して朝鮮と中国、東南アジア諸国などアジアの人民に犯した罪悪のすべては想像を絶するものであった。

 旧日本軍は、占領地域ですべてを殺し、すべてを焼き払い、すべてを略奪せよという3光政策を実施して朝鮮と中国の数千万人の平和的住民を殺傷する非人道的行為を働いた。

 日帝の朝鮮人強制連行は、その規模と手段、方法において中世的な奴隷狩りをほうふつさせる非人間的な蛮行であった。

 日帝は、「国家総動員法」「国民徴用令」「改定国民徴用令」「壮年全員に対する徴用令」「女子挺身隊勤労令」など悪法を相次いで制定、改悪し、600余万人を朝鮮国内で徴発して無報酬強制労働に駆り出し、およそ20万人の未婚・既婚女性を誘拐、ら致して「皇軍」の性欲を満たすいけにえにし、あげくにはその大半を虐殺した。

 また、日帝は朝鮮占領期間、朝鮮の革命家と愛国者、進歩的な大衆と罪なき住民百数十万人を撃ち殺し、焼き殺し、絞め殺し、生き埋めにし、五体をばらして殺す行為を何のためらいもなく働いた。

 日帝が朝鮮人民に及ぼした物質的被害は、実に天文学的な数字に達する。

 日本が大幅に縮小して発表した資料を見ても、朝鮮から略奪した金は363トン、木材は3000余万立方メートルであり、米と鉄鉱石、鋼材、亜鉛、マグネサイトなどの各種資源は数え切れない。

唯一、清算を回避

 日本の過去の犯罪は、朝鮮人民とアジア人民の人権をもっとも残虐に侵害、蹂躙(じゅうりん)することによって国際社会の正義と道義をはなはだしく破壊し、国際法に乱暴に違反した重大な人道に対する罪、奴隷犯罪、戦争犯罪となる。

 日本は、前世紀に犯した侵略と罪悪に満ちた過去を認めようともせず、逆にそれを歴史のやみに永遠に葬ってしまおうとあらゆる術策を弄(ろう)しながら、あくまで過去の清算を回避したままサK世紀の2年目を迎えた世界唯一の国となっている。

 日本は戦後、半世紀がはるかに過ぎた今日も過去の重大な罪過に対して謝罪も補償もしていないばかりか、逆に過去の犯罪行為を美化し、正当化しようと策動している。

 日本は、最大の被害国であるわが朝鮮とわが国の被害者に対して一度たりとも心からの謝罪をしなかったし、一文も補償していない。

 日本の過去の清算を実現するための運動は、新世紀を迎えた今日、われわれにとって特別に重要な問題となっている。

 日本の過去の清算を求める国際的な協議機構を設ける必要がある。

 国際的な協議機構が発足すれば、日本の戦後補償の実現を早めるためのさまざまな活動を国際的な規模で協議、組織し、各国・地域の団体が互いに共同歩調を取り、連帯を強化して日本当局を過去の清算へと向かわせるための国際的包囲網を形成するうえでより大きな威力を発揮できるであろう。

 日本に侵略と犯罪の歴史を認めさせ、相応の賠償と補償をさせることは、日本に侵略されて被害を受けた国と人民だけでなく、世界人民の共通の課題でもある。

 正義と真理を重んじ、国際法と人道的原則を尊重する人であるなら、誰であれ日本の過去の清算回避行為を許さず、この正義の運動に積極的な支持と連帯を送るものとの期待を表明する。

全被害者・国に謝罪、補償を

日本総理に送る抗議の手紙

 小泉純一郎総理殿

 われわれアジアの国と地域から来た各民間団体代表と人士、旧日本による被害者は、朝鮮民主主義人民共和国の首都平壌で日本の過去の清算を求めるアジア地域シンポジウムを行い、貴方にこの手紙を送る。

 本シンポジウムでは、20世紀、旧日本が朝鮮をはじめアジア諸国を侵略して強行した犯罪行為が国際法に乱暴に違反する重大な反人倫的犯罪であって決して許されるものでなく、それゆえ日本当局は早急に過去を清算すべきであるという問題が集中的に、そして広範に討議された。

 貴方もご存じのように、日本の過去の清算問題は今日はじめて提起された問題ではない。

 日本の過去の犯罪行為問題は、すでに久しい前から各被害国だけでなく国連をはじめとする各国際機構と非政府組織で重大なものとして論議され、その早急な解決を日本当局に求めてきた国際的な未解決問題である。

 もちろん日本当局が、過去の真相について公開はしなかったものの、日本が20世紀の各被害国で強行した民間人虐殺と略奪、強制連行と強制労働、性奴隷制などすべての反人倫的行為は被害者と加害者、目撃者、そして世界各国の研究者と専門家、法律家によってその加害の実態と真相がすでに疑う余地もなく実証された。

 今回のシンポジウムで強調されたように、過去、日本が働いたすべての犯罪行為はその重大さと反人倫的性格からして、とうてい放置できない問題であり、その清算をこれ以上、後回しにすることはできない。

 被害者とその遺族は言うまでもなく、国際的正義と人類の良心がこれを許さないであろう。

 しかし、この問題に関する歴代日本当局の態度は、世人と国際社会界の期待とはあまりにも相反するものであり、各界の憂慮と憤激を買っている。

 シンポジウムでは、ドイツとイタリアなど多くの国が20世紀に犯した自国の誤った過去をきれいに清算するため誠実に努力しているが、唯一日本だけはこうした国際的推移に背を向けていることについて口をそろえて指摘された。

 実際に日本当局は、過去の清算はおろか、過去の犯罪行為を歴史の闇に葬ってしまい、それに対する謝罪と補償を回避するため戦後、半世紀が過ぎ、新世紀の2回目の年を迎えた今日も過去を正当化し、公然とひ護しており、再び軍国主義の復活と「自衛隊」の海外進出で侵略的な過去を再現しようとしている。

 日本当局を代表する貴方自身が、数回にわたり先頭に立って行った「靖国神社」参拝もこのような見地から考察され、アジア地域の人民と広範な社会界の怒りを買っている。

 特に、本シンポジウムの参加者は、日本が最大の被害国であり、隣国である朝鮮民主主義人民共和国に対して何の謝罪も補償もせず、逆にこの半世紀以上、敵対的かつ非友好的な対朝鮮政策を追求してきたことについて厳しく糾弾した。

 過去、数百万の朝鮮人に対する強制ら致と無差別の虐殺蛮行を強行しておきながら、何の謝罪もせず、逆に「ら致疑惑」だの、「大量殺りく兵器」だのと朝鮮民主主義人民共和国に途方もない言いがかりをつける日本当局の態度は何によっても正当化されない。

 シンポジウムの参加者は、過去に臨む日本当局の態度が時代の要求と人類の志向に対する乱暴な挑戦に、被害者と被害国に対する重大な冒とくになるとのらく印を押し、貴方がこれに対する日本当局の責任を感じ、当然の指導力を発揮して次のような正しい政治的決断を下すべきであると求める。

 第1に、日本政府は侵略的かつ犯罪的な自国の過去史を認めたうえで責任のある者を法律的に処罰し、すべての被害者と被害国に公式の謝罪と納得できる補償をすべきだ。

 第2に、日本政府は不当な歴史わい曲行為と軍国主義復活策動を直ちに中止し、実際の行動で二度と犯罪的な過去を繰り返さないという自国の意志を内外に示すべきだ。

 第3に、日本政府は過去、朝鮮民族に及ぼした大きな犯罪行為を清算する問題が朝・日関係解決の中核的な問題であるということを認め、過去の清算問題に誠実に臨み、時代錯誤の対朝鮮敵視政策を根本的に是正すべきである。

 第4に、日本政府は朝鮮半島の統一を一日も早く実現することが北東アジア地域の緊張状態を解消し、恒久的な安全を保証する唯一の打開策であるという正しい認識をもって6.15北南共同宣言の履行を妨げることをしてはならない。

 われわれは、上記の問題の早急な解決が日本の道徳的・国際的イメージを改善し、アジア諸国との真の和解と信頼を図るための重大事であることを改めて強調しつつ、日本の国政を受け持っている貴方が世界の公正な世論に耳を傾け、肯定的な措置を取るものとの期待を表明する。

 「日本の過去の清算を要求するアジア地域シンポジウム参加者一同」

 2002年5月4日 平壌

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