それぞれの四季

アボジとパソコン

梁愛齢


 「うーん…どこかに時刻が出ているでしょう? ある? その隣になんか赤い丸があって、ないの? えーっと…」

 パソコン操作を電話で説明するのは、本当に難しい。まして受話器の向こうにいるのは、70歳を過ぎたアボジなのだ。

 旧日本軍の強制連行の歴史を研究しているアボジが、平壌での国際シンポジウムに参加することになった。

 そこでなんとアボジは、原稿をメールで送るという必要に迫られてしまった。

 パソコンで原稿は作れるようになったが、ネット系に関しては、まだ白紙状態と言うかあとまわししていたので困ったアボジは、重いノートパソコンを担いで2時間の道のりをやってきた。

 どうにか原稿は無事おくれて、父娘共々胸をなでおろした次第だ。

 ハングルも打てるようになったし、今度はインターネットとメールに挑戦してほしい。1番簡単だから。

 みなさんもいかがですか? ウリハッキョでもおしえているので中2以上の孫、子がいれば大丈夫です。世界が広がりますよ。

 機械は何回間違っても怒らないし、パソコンはそんなに簡単に壊れません。

 高度にネット化された世界では、どこに住んでいるかということは、あまり意味をもたないらしい。どの民族に属するか?―というのがキーワードになるそうです。

 だってネットの世界では、お隣も地球の裏側も同じ距離なのですから。(会社員)

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