駐韓米軍問題解決運動史
「老斤里から梅香里まで」出版
南朝鮮に米軍が駐屯して57年。彼らによる犯罪と人権侵害は後を絶たない。
良民虐殺の代名詞で知られる老斤里と、自然環境そして生命の破壊現場である梅香里をタイトルにした、駐韓米軍問題解決運動史「老斤里から梅香里まで」が、昨年6月、ニューヨークで開かれた「コリア戦犯裁判」に合わせて南朝鮮で出版されたもの。本書はその日本語版で、今年1月に出版された。良民虐殺真相究明闘争史、米軍基地反対運動、SOFA改正運動、米軍犯罪の実相と抵抗の歴史ほか、駐「韓」米軍関連用語、関連団体紹介などが収録されている。 朝鮮戦争初期の1950年7月末、忠清北道永同郡黄澗面老斤里で起こった非武装住民に対する米軍の大量殺りくは、1999年9月末、AP通信の報道によって、歴史の表舞台に登場した。 米軍により強制的に疎開させられた村の住民500〜600人の頭上から、米戦闘機は爆撃と機銃掃射、逃げ惑う住民に銃撃を加え、トンネルや線路下の水路などに隠れた生存者たちをトンネルの中へと追いやり、両側からさらに銃撃を加えた…。老斤里米軍良民虐殺事件対策委員会をはじめとする南朝鮮調査班の報告によると、犠牲者のうち、83%が子供と女性そして老人であったという。 2001年1月、クリントン米国大統領(当時)は、老斤里事件の被害者らに謝罪声明を発表。「深い遺憾の意」を表したが、法的責任および賠償問題についてはまったく触れなかった。 梅香里爆撃場は、京畿道華城郡雨汀面梅香里一帯の海岸とその海に浮かぶ島にある。爆撃場は690万坪の海上爆撃場と38万坪の陸上爆撃場からなり、爆撃は月曜日から金曜日まで、年に250回ほど行われる。 1日平均11.5時間。編隊別に15分から30分間隔で700回ほど訓練を行う。日中、夜間と入れ替わるが、朝9時から夜の11時30分までそれは続けられる。年に4、5回、「韓」米軍合同訓練のような特別期間には、24時間爆撃が続く。 誤爆事件と不発弾爆発のため、住民の死傷者も多数出ている。近隣地域の騒音はひどく、35.3%の住民が騒音性難聴になっており、高血圧患者の発生率も高い。ほかにも80%以上が「耳鳴り」の症状を訴え、多くの住民に神経の異常な高ぶりと情緒不安、めまいの症状が見られるという。 南朝鮮政府の公式な統計によると、1967年から98年末までに発生した米軍犯罪は5万802件、警察に届けられなかった事件を、45年から現在までの米軍犯罪は10万件を上回ると推定される。その犯罪は殺人、強盗、密輸、麻薬、放火などの重大な犯罪から、基地の環境汚染、PX不法流出を通した巨大な闇市場の形成など、広範囲な形態に及ぶ。 92年の尹今伊氏殺害事件で見られるような、基地村女性たちに対する強かんや暴力などの犯罪も続発している。 根深い家父長制度のもと「純潔イデオロギー」は人権にまで差をつけ、基地村女性たちをさらに傷つけている。こうした問題は、世界中に点在する米軍基地でも起こっており、基地の町の売春問題に悩む女性たちを支援する連帯運動も活発化している。 日本軍の武装解除と朝鮮戦争を通じて駐留し始めた駐「韓」米軍は、今もその駐屯の口実を朝鮮半島の「平和維持」としているが、本書を一読すれば、彼らが「韓国」民を守ってくれるのではなく、暴力や差別を助長し、市民に敵対する組織された侵略集団であることは明確である。(金潤順記者) |