李昇昊のツボ教室(1)

ツボ療法


 まず、簡単な実験をして見ましょう。

 ひざ下のやや外側の「足三里(あしさんり)」というツボを探しましょう。そこで親指で強めに3分ほど押さえてみましょう。足の指先まで響き、お腹がゴロゴロ鳴ってきます。なぜでしょう?

 ツボは身体に主なものだけでも約360個あります。身体の機能を調和するためのエネルギーを「気」と「血(けつ)」といいます。そのエネルギーが流れる道を「経絡(けいらく)」といいます。ツボはその経絡の途中に点々とあり、そこに各内臓の反応が現われるのです。したがって、症状にあわせて、効果を得やすいツボやよく使われるツボを選んで刺激を与えれば、患部から離れた所でも十分に効果があるのです。

 身体の病気や不調は、その経絡に流れている気と血が滞るために起こるのです。そこでツボに適切な刺激を与えれば、気と血の流れがよくなり、現代人に多いストレスによる身体の不調や、体質による症状や慢性化した症状などにも効果を発揮するのです。

 そこで先ほどの実験のネタを明かしますと、「足三里」というツボは、足のすねの筋肉に沿って足の中指まで流れているのです。また、胃経という消化器系統に最も関係が深いところなので、そこを押しただけで、足先まで響き、胃腸が活発に動き出し、ゴロゴロと鳴るのです。

 次回より数回にわたってツボ教室を連載いたしますが、ツボの探し方に、少しテクニックが必要になります。

 ツボの場所は、周囲の皮膚に比べて

 ・硬くグリグリしている
 ・押すと気持ちがいい
 ・しこりがある
 ・皮膚がざらざらしている

などを参考に、イラストを見ながら探してみましょう。

 1寸、2寸という寸法は、絵を参考にし、各自の指を物差しにします。

 刺激の方法は、指で指圧しても効果的ですが、爪楊枝(5〜10本束ねる)や簡単灸(せんねん灸など)を使用したり、エレキバンや使い捨てカイロを応用するとよいでしょう。注意することは、温める刺激の際は必ず温めないと効果が少なくなります。

 とにかく気持ちがよく、効いている感じがするように上手に刺激しましょう。強ければ効果的とか、やればやるほど効くということでは決してありません。ツボ療法に親しみ刺激を楽しむように、根気よくできるようにしたいものです。

 【経歴】1960年東京生まれ。東京朝鮮中高級学校卒業。関東針灸専門学校卒業。帝京医学技術専門学校卒業。現在、うえの針灸整骨院、李針灸整骨院院長。医協東日本本部常任理事。著書に「すぐに役立つツボ療法100」など。うえの針灸整骨院(東京都台東区東上野2―21―5、TEL 03・3832・6899)

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