取引の拡大、貿易活性化に
5月に平壌で国際見本市
パートナーシップを 見本市を主催する朝鮮国際展覧社は、朝鮮の貿易省、国際貿易促進委員会の傘下にある。アジア太平洋時代と呼ばれる21世紀に、東アジアに新しい市場センターを構築する目的のもと、2000年から見本市を開いてきた。 重工業分野から食品加工機械、軽工業品、種苗などあらゆる産業を網羅しており、「製造業者、貿易会社、コンサルタント会社、商工会議所、大使館商務部などすべての参加者が、それぞれ直接接触し、新しいパートナーシップを構築できる場を提供できる」と李守徳・国際展覧社社長は言う。 参加契機に取引開始
日本からは昨年、東アジア貿易研究会が窓口となって初めてまとまった形で参加した。参加したのはNKK(日本鋼管)、古河機械金属、ブラザー工業、森本製作所などの有名企業9社と1団体(日本自動車工業会)。 澤池忍・同会理事長によると、ブラザー鉱業の出品した縫製用ミシンがすべて売れたり、種苗関連の商品や外貨ショップで販売する魔法ビン、圧力釜などの1次産品が注目を集めたそうだ。 周知のとおり、朝鮮の縫製工場ではスーツ、子供服などを委託加工している。そのため、縫製用ミシンの需要は高い。ブラザー工業のように、昨年の見本市参加をきっかけに取引を始めている企業もあるという。 今回、東アジア貿易研究会が作成した出展案内には、出品対象種目として次のようなものが挙げられている。 @電力、エネルギー、輸送、建設、鉱山等の関連機械および部品A自動車および部品B食品加工機械C縫製用ミシン、ニット編み機D農業関連機器E軽工業用各種機械類F種苗G軽工業品(家庭用医薬品、家庭用品、事務用品および機器等)。 昨年は古河機械金属が鉱石採掘機械を出品したが、日本に戻ってから引き合いがきたという。 「進んでいる証拠」 見本市では東アジア貿易研究会のブースも設けられる。
昨年は、同会に国際貿易促進委員会側から日本の企業に、売りたい物、買いたい物の打診があるという。会では、そういった話を会員企業に持ちかけ、関心のある企業につなぐこともある。 例えば、朝鮮側から廃タイヤを輸入したいとの打診があったり、逆に鉱物資源、水産物などを輸出したいといった話があったりする。廃タイヤなどは、新潟の企業が実際に取引を始めているという。 今年は昨年に比べて、日本からの参加企業数は少ない。その背景には、昨今の日朝間の政治的関係が色濃く反映している。 だが、そういったマイナスの面だけでなく、実際に取引を始めたからもう参加しないというプラスの側面もある。ある意味では「取引が進んでいる証拠」(澤池氏)になるからだ。 |