私の趣味―ステンドグラス
7色の光線に夢をはせ
大阪・堺市 皇甫正子さん(47)
ステンドグラスが家の中に飾られているだけで、室内全体に高級感が漂うと話す皇甫正子さん(58)。ステンドグラスを手がけて早30年。家の中には作品が所狭しと飾られている。
若くして家庭を築いた皇甫さんは、洋裁、レース編み、編物など色々やってみたが、自身がもう1歩つきすすむ魅力を感じなかったという。そんな皇甫さんがステンドグラスにひかれたのは、元来ガラスに魅力を感じていたからとか。 「幼い頃からガラスの食器とか、1度手がけてみたかった。ガラスは7色の光を映し出す。光線の加減で色々な色に見えることに魅力を感じていた」 26歳で3人の子供を産み、子供らが小学校に行くようになり、生活にゆとりができた。 家庭だけに決してこもる女性でいたくなかったという皇甫さん。「自分の人生これでいいのか?」と自問しながら出した結論がステンドグラスだった。 「私って結婚当初は何1つできませんでした。だから趣味は何と聞かれた時、答えられなくて…」 ステンドグラスなら自分のペース、リズムでできると思って続けた。 ステンドグラスのおもしろさは、「製作過程での難しさと苦労して作り上げる喜び」と言う。本格的に習うため専門学校にも通った。 自宅で始めた当初、ガラスを扱うため家族みんなに迷惑をかけた。飛び散った破片で家族がケガをするのは日常茶飯事だった。 ステンドグラスは、デッサン、下絵、色の選択、ガラスの形作りなど、工程過程での寸分の狂いも許さない。家から一歩も外にでないことも、ガラスを切りすぎて腱鞘炎にかかったことも多々あるという。そんな彼女の気分転換は旅行に行くこと。「さまざまな土地の土産品から作品のヒントが浮かぶ」という。 3月下旬に開催されたウリキョレ女性展に作品を展示、多くの観覧者の好評を博した。 ガラスの音や割れる音、ケガに悩まされ猛反対してきた家族らも、出来上がる作品と彼女の根気に負け、今は認めてくれるようになった。作った作品は100点以上、みな「かわいい」。人から頼まれた作品を渡す時はまるで嫁に出す気持ちだとか。 今、アニメをテーマにした作品に凝っているという。2年後に迎える還暦を機に個展を開きたいと意欲をもやす。(千貴裕記者) |