みんなの健康Q&A
ストレス(上)−定義と症状
まじめ、内向的、頑固な人に多く
Q:この頃ストレス病で悩んでいるという人が多いとききますが、そもそもストレスとは何なのか教えて下さい。
A:ストレスとは、気候、外傷、疾病、精神的緊張など、体外から加えられた各種の有害刺激に対応して、体内に生じた傷害と防御反応の総和であると定義されています。どんなストレスが不快で、どんなストレスがそうでないかは人によってまちまちです。ただ、一般的には圧迫や強制、緊迫というようなものを不快な刺激とみなし、それによって生じた心のゆがみ、あるいは不快な刺激自体をストレスと呼んでいます。 Q:例えばストレスにはどんなものがありますか? A:まず大きなものとして、戦争や大地震などによってかかる破局的・破壊的なストレスがあります。次に、人生の中のさまざまな出来事に伴うストレスがあります。これは、仕事上の問題、結婚、就職・失業、転居、配偶者の死などに際し感じるストレスです。3つめは、ずばり日々のいらだち事から生ずるストレスです。ほんのさ細ないらだち事が日常生活の中でたえまなく積み重なると、いろいろな病気を引き起こします。 Q:結婚、妊娠や進学など本来めでたいはずの出来事もストレスになるのですか? A:実は、ストレスの重さは出来事の良し悪しという一般的な価値観で決められないのです。平静の安定した生活を基準にして、良いことでも、悪いことでも、それによって引き起こされる身体的あるいは精神的変化の度合いによってストレス度は決まってくるのです。 実際、細かくストレスを分類すると、気温や気圧といった気候のストレス、騒音や大気汚染、住環境などの環境ストレス、病気やけがなどの身体的ストレス、家族や親しい人の死、不幸などの精神的ストレス、戦争や政情不安、リストラや倒産といった社会的ストレス、家族や友人などとの対人関係のストレス、等々があげられます。しかも、この頃は社会の複雑化によってその種類はどんどん増えていると思われます。 Q:なぜ、ストレスが心や身体をむしばみ、病気を引き起こすのですか。 A:ストレスにみまわれると人間の中には不安や怒り、失望、恐怖などの感情が生まれます。これを情動反応と呼びます。次に動悸(どうき)や冷や汗といった身体反応が起きます。すると、これら不快な状態を解消しようとする行動をとるようになります。例えば、お酒を飲んだり過食をする、といった行為です。これを行動変化と呼んでいます。 この状態が長くしかも強く続くと、肉体・精神的にも疲労し、身体に異常が生じてくるのです。このことは例えば自律神経の平衡の乱れ、免疫機能の異常などとしてさまざまな問題を引き起こします。どこに異常が出るかは体質や性格、遺伝などによって異なります。 Q:どんな症状が多いのですか? A:個々の疾患については後で述べるとして、症状でよくみられるのは、腹痛・下痢・便秘などの胃腸症状です。その他、頭痛、発汗、頻尿、動悸、いらいら感、にきび、震え、強迫観念などです。 Q:ストレスに弱い、適応力がないなどと言う人がよくいますが、人によって差があるのですか? A:ストレスに弱い人には、いくつか特徴があります。 まず、まじめできちょうめんすぎる性格の持ち主です。こういった人は完璧主義的傾向が強く、適当なところで妥協することができないので、少しでもうまくゆかないことがあると不安になり、それが長引くとイライラや不眠などの症状が出やすいのです。 内向的で消極的すぎてもストレスに陥りやすくなります。これは、いやなことでもはっきりことわれず、1人で悶々と悩むのが特徴です。自己嫌悪に陥り、これが蓄積して、いろいろな症状に悩まされるようになります。 Q:確かに、よくありそうな話ですね。 A:一方、頑固で厳格な性格の人でも逆にストレスをためてしまうことがあります。この場合は、自分に厳しいと同時に他人にも厳しいため、他人の失敗が見過ごせず、カッカしてしまうので、精神衛生上よくないのです。 もうひとつ、とりこし苦労の多い人も問題です。うまくいくだろうか、大丈夫かと、心休まる暇もなく心配の種が尽きない性格です。不安というストレスに常に脅かされているわけです。(東京都足立区平野1―2―3、TEL 03・5242・5800) |