朝ロ関係、新たな発展段階へ
朝鮮半島の安全と平和、経済に寄与
新たな世界秩序の樹立に有益
朝鮮とロシアの親善、協調関係がより一層深まっている。今年に入ってからだけでも、金正日総書記は朝鮮駐在のロシア大使館を2回にわたり訪問し、平壌を訪れたロシアのプリコフスキー極東連邦管区大統領全権大使や大統領楽団とも会談した。 朝鮮とロシアの親善関係は伝統的に築かれてきたものだが、新世紀に強盛大国建設を目標に掲げている朝鮮と、「強いロシアの再建」を唱えるロシアの根本的利益から出発したもの。米ブッシュ政権の強硬策にかかわらず親善・協調強化へと動く両国の動向は、朝ロ関係の緊密化を示すもので、関係諸国の注目を浴びている。 朝ロ関係の新たな進展が金正日総書記とプーチン大統領の両首脳により直接進められている事は周知の事実だ。プーチン大統領は2000年7月に朝鮮を訪問し、金正日総書記は昨年8月にロシアを訪問した。両国の関係強化は、世界の一極支配を目論む米国がMD樹立を強行すると共に、昨年の「9.11テロ事件」を契機に独善的な戦争政策を強めている中で進められており、米国による一極化構造構築を根幹から揺るがしている。 ブッシュ政権は朝鮮をはじめとする国々を「悪の枢軸」などと冒涜(ぼうとく)しながら、朝鮮とロシア、中国をはじめとする7カ国に対し核による先制攻撃も辞さないという強硬姿勢を貫いている。このようなブッシュの強硬政策は、とりわけ朝鮮半島における南北関係を滞らせるばかりか緊張を高めている。 2000年7月19日に発表された朝ロ共同宣言でも明らかにされているように、朝鮮とロシアによる友好、親善関係の発展は平等で互恵的な関係を創り出そうという世界的なすう勢にも合致するもので、ブッシュ政権の横暴にブレーキをかけ朝鮮半島の安全と平和を守るうえでも大きな意義を持っている。 朝米会談を中断させたまま「核査察」をうんぬんしているブッシュ政権の強硬策により、94年に合意された軽水炉の建設はいまだ展望が見えていない。 このような状況下、朝鮮とロシアの両国の間では朝鮮に新たな原子力発電所を建設するための協議が始まった。 また、ロシア鉄道部が平壌に代表部を設置するなど鉄道連結に関する事業も着々と進捗している。この鉄道連結事業は北と南の鉄道連結を前提としており、朝鮮半島の平和、南北関係の進展が切に望まれている。 こうした原子力発電所の建設や鉄道連結事業は、両国に経済的な利益をもたらすばかりか、南北関係の進展を前提とした平和と協調の象徴であると共にブッシュ政権の独善的な強硬政策と明らかな対照をなしている。 多方面で交流深化 朝鮮とロシアの両国の間ではこのほかにも経済、文化をはじめとするさまざまな分野で新たな協調関係が強められている。 今年に入ってからだけでも、朝鮮とロシアの医学科学院との間で「医学科学交流に関する協定履行のための2002−2004年合意書」(1月31日)、「朝ロ規格、計量および品質管理部門協定計画書」(2月1日)、「朝鮮国際貿易促進委員会とロシアの『極東投資会社』との協調に関する備忘録」(2月12日)、それに朝鮮科学院とロシア科学院シベリア分院との間で「科学協調に関する協定」(3月22日)などの条約、協定が締結された。 また、チェ・テボク最高人民会議議長の一行や朝鮮科学院代表によるロシア訪問、プリコフスキー大統領全権大使や大統領楽団の朝鮮訪問など、人的な交流も活発に行われている。 プリコフスキー全権大使の平壌訪問が4月に予定されているなど、朝鮮とロシアはこれからも多方面で交流を深めていくように見える。朝ロの関係強化は経済的にはもちろんのこと、南北関係の進展や自主化へと向かう世界的なすう勢にも大きな後押しとなるだろう。 |