春・夏・秋・冬

 2カ月間の研修を終え欧州から戻った朝・日輸出入商社の李達英係長から面白い写真が寄せられた。本紙でも紹介したが、大英博物館に朝鮮の政治ポスターが飾られているもの。朝鮮人民軍兵士の姿と「強盛大国建設しよう!」のスローガンが描かれた絵柄は、いかにも独特の雰囲気をかもし出している。朝英国交正常化を機に展示されたという

▼李さんのレポートを読むと、朝鮮と欧州連合(EU)との関係が想像以上に進んでいることがわかる。「北朝鮮については、現在、EUと経済を軸に交流を続けており、(「悪の枢軸」発言による)急激な対応は考えにくい」。EUの政治、外交政策が専門の英王立国際問題研究所欧州担当責任者のJ・スミス氏がこう指摘(読売新聞14付)するとおり、それはとくに経済面で顕著だ

▼ユーロという共通通貨を持ち、経済的にも共同体としての連携を深めるEU諸国。その自信が、「悪の枢軸」発言の後にも、米国とは一線を画す対応を示していることに表れている

▼実際、「悪の枢軸」のひとつに名指しされたイランのハタミ大統領は先日、ウィーンでソラナEU共通外交・安保上級代表と会談し、両者の関係強化を話し合ったばかりだ。世界が米国に追随する時代はもう終わったといえる

▼ブッシュ政権の単独行動主義に警鐘を鳴らす声は国内にも存在する。「他国の意見に耳を傾けねば、米国自身にマイナス」(朝日新聞6日付)と語るのはナイ・ハーバード大教授。米国は今こそ、自国の国益のみを考えるのではなく、地球規模での平和を考えるべきだ。(聖)

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