みんなの健康Q&A

花粉症(下)−東洋医学的療法

漢方薬、針灸治療が代表的な療法
「証」にあった食材工夫も効果絶大


 :花粉症の東洋医学的な治療にはどんなものがありますか?

 代表的なものとして、漢方薬・針灸治療(ツボ療法)があります。そのほかにもあんま・気功・台所薬膳療法などが効果的でしょう。漢方薬は一般的には何種類かの生薬を組み合わせた処方を用いますが、それぞれ名前(処方名)がついています。ツボ刺激療法としては、温める・冷やす・おす・もむ・こする・小さな突起物(米つぶなど)などの方法でツボを刺激すると効果的でしょう。

 :花粉症に効く台所薬膳はどんなものがありますか?

 台所薬膳とは毎日食べている身近な食べ物の薬効を利用して症状を楽にしようというものです。症状別に分けてみますと、まず、くしゃみ・鼻水が多く・身体を冷やすと症状が出るという方には、ショウガのおろし汁をぬるめの湯で薄くのばして毎日定期的に飲んでいると症状が楽になります。次に目の充血・かゆみ・熱感が続いているような場合には、ハッカのリキュールを毎日飲んでいると楽になってきます。ショウガもハッカも香辛料としてなじみのある食品ですが、実は、重要な漢方薬でもあります。このように漢方薬としても用いられる薬効のある食べ物などは、意外に多くあります。身近な食べ物の薬効をうまく応用すれば、花粉症治療の一助となります。自分で行える台所薬膳を楽しみながら工夫したいものです。

 :私の花粉症は、くしゃみと鼻水が出るのですが?

 :花粉症の代表的な症状でしょう。「風寒証(ふうかんしょう)」という花粉症の特徴です。そのポイントとなる症状は、▽くしゃみが連続し、透明な鼻水が多い▽朝起きたらしばらく症状が激しい▽寒いところにいたり、冷たい風にさらされると症状がひどくなる――などです。

 よく使われる漢方処方としては、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)があります。そのほかにも葛根湯加辛夷川★(草冠に弓)(かっこんとうかしんいせんきゅう)、葛根湯、麻黄湯などが使われます。

 ツボとしては、合谷(ごうこく)・風池(ふうち)・風門(ふうもん)。

 ツボ療法のポイントとしては風池・風門などのうなじや背中の上部を暖めると効果的です。方法は、ドライヤーで5分〜10分間ほど温めます。

 食膳としては、身体を暖めて冷えに強くなる食べ物は、シソ、ネギ、ニンニク、ニラ、ショウガ、ウド、フキ、シナモンなど。食べ過ぎると身体を冷やして冷えに弱くなり、ひかえたい食べ物としては、トマト、キュウリ、ナス、ゴボウ、ソバ、ハッカ、スイカ、ナシ、柿など。

 :私は黄色い目ヤニが出て、粘っこい鼻汁や痰がでるのですが?

 :これは前出の「風寒証」に対して、「風熱(ふうねつ)証」の花粉症です。症状のポイントとしては、▽目ヤニ・鼻汁・痰などの分泌物が黄色くて粘っこい▽鼻や目に熱感があり、のど・目・顔が赤い▽熱いところにいたり、温風にあたると症状が悪化する――など。

 よく使われる漢方処方としては、十味敗毒湯加桔梗石膏です。その他にも、蒼耳散(そうじさん)、桑菊飲(そいぎくいん)駆風解毒散加桔梗石膏などが使われます。良く使われるツボとしては、尺沢(しゃくたく)・大椎・商陽・少商。

 少商と商陽は親指と人指しの指の先にあるツボで、風熱証の特効ツボです。

 少し痛いくらいにもむと効果的です。また、楊枝の先でツンツンとやや強めに刺激するのも良いでしょう。

 食膳としては、身体を冷やして暑さに強くなり炎症を改善するものとして、クズ・ゴボウ・ハッカ・キクの花・ミョウガ・スイカ・ナシ・柿など。食べ過ぎると身体を温めてよけいに暑くなり、良くない食べ物としては、コショウ・トウガラシ・ネギ・ニンニク・ニラ・ショウガ・シナモン・カレー・チョコレート・コーヒー・アルコールなど。

 :私は花粉症の時期になると今まで以上にイライラしてしまうのですが?

 :このタイプも少なくありません。「風寒気鬱証」といいます。症状のポイントとしては、▽鼻・目・のど・耳につまり感、渋り感が強い▽気分(精神)が不安定▽寒さやストレスで症状が悪化しやすい▽各種の薬で胃腸の具合が悪くなりやすい――。

 よく使われる漢方処方としては、香蘇散(こうそさん)です。その他にも、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、参蘇飲(じんそいん)などです。

 よく効くツボとしては、合谷・神門・風池・風門・身柱(しんちゅう)・百会(ひゃくえ)・★(月偏に亶)中(だんちゅう)など。

 刺激の方法としては、▽各ツボを楊枝を10本より15本束ねてとがっている方で1〜2分間トントンとたたく▽次にドライヤーで暖める。熱くなったらやや離し、また近づけるように繰り返す▽手首の小指側にある神門を反対側の手の親指で少し痛いくらいにグリグリとマッサージする▽胸の★(月偏に亶)中のあたりを手のひらで温かくなるまでさする――。

 薬膳としては、身体を温めて冷えに強くなる食べ物として、シソ・ネギ・ニンニク・ニラ・ショウガ・ウド・フキ・シナモンなどがあり、精神を安定させてストレスに強くなるものとして、コムギ・ユリ根・シソがあります。食べ過ぎると身体を冷やして冷えに弱くなる食べ物としては、トマト・キュウリ・ナス・ゴボウ・ソバ・スイカ・ナシ・柿などがあります。

 これ以外にも、いろいろなパターンがありますが以上のことを参考に試してみると良いでしょう。

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