ざいにち発コリアン社会

これからも同胞社会に貢献

留学同・卒業生たち


 日本の大学、短大、専門学校に通う同胞学生の団体、在日本朝鮮留学生同盟(留学同)からは今年も多くの学生が巣立っていく。留学同の専従になる者、大学院に残って研究を続ける者、日本の企業に就職する者など、その進路はさまざまだ。しかし、何らかの形で在日同胞社会に貢献していこうという思いは一致している。3人の学生たちに抱負を聞いた。(談、文責編集部)

民族に関わり続けたい

留学同専任活動家になる 金涼子さん(東京学芸大学)

 留学同に参加する過程で、総聯組織の中で働きたいという思いがだんだん強くなっていった。

 小学校から大学まで一貫して日本の教育しか受けてこなかった私にとって、朝鮮人のネットワークを築いた留学同は離れ難い場所だった。民族に関わる活動を一生続けたいと思っていたので、専従活動家になることを自ら願い出た。

 高校時代までは帰化するか、「韓国」籍に変えたいと思っていた。在日であることでかっ藤があった。だからこそ、同世代の同胞と話したいと思った。大学に入ると同時に、同胞が集まるサークルを作ろうと試みたが、実現しなかった。

 そんな2年生の冬、朝鮮大学校で毎年行われている学科別研究討論会の案内を雑誌「イオ」で見つけ、参加。そこで留学同の存在を知った。翌年のスプリングセミナーで全国から集まった同胞学生とあれこれ話をする過程で、気持ちをさらけ出せる仲間と出逢った。

 専従活動家になることについては最後まで悩んだが、やはり決め手は「現場から離れたくなかった」との思い。自分たちの世代が何もしなかったら、間違いなく日本で精神的な民族性は失われていくと思う。しかし、留学同がなぜ楽しいか、意味があるかといえば、それが必要だからだ。民族に触れる場に出逢えてよかったという自分の体験を、少しでも多くのトンムたちに伝えていきたい。(文聖姫記者)

夢は統一チームの通訳

アシックスに就職する 朴誠一さん(立命館大学)

 留学同は私を人間的に成長させてくれた場所だ。幼稚園から一貫して民族教育を受けてきたが、大学に入り留学同に参加するようになってから、朝鮮人であることに対して、あらためて問題意識を提起された。

 経済学部の校舎移転にともない、2回生から拠点として新しく作られた滋賀支部に移った。勉学のかたわら、在日コリアンの学生らと真っ向から向き合った。言葉を選ばず、腹を割って話す真しな姿に、最初は違和感を感じた。しかし、バイトや遊びに没頭する学生が多い中、学生時代にしかできないことをしっかりやろうとする先輩たちの志に共感を覚えた。

 3回生の時には滋賀支部長を務めた。数は少ないもののガッツがある支部員たちとともに留学同活動に奔走した。大学の4年間にしかできない留学同活動の大切さを訴えてきた。

 留学同は本当の人間関係を築ける場所だ。自己をさらけ出し、本腰で意見を述べあうことで、自己主張もでき、人間関係も深まる。

 就職活動の際に培った活動経験をアピールした。

 スポーツ業界を選んだのはシドニー五輪共同行進に感銘したことが大きい。政治がからまないこの業界で、チョソンサラム(朝鮮人)としての自分をしっかり見つめ、チョソンサラムしかできないことをやりとげたい。夢は統一チームの通訳として働くことだ。(千貴裕記者)

成果を祖国と民族の繁栄に

都立大大学院・高E物理研究室に進む 李栄篤さん(埼玉大学)

 4月から東京都立大学大学院の高エネルギー物理研究室で、物理学を研究することになった。

 研究内容は、素粒子物理学の標準理論の検証と、未解明の論理の解明だ。例えば後者では、素粒子を加速させて衝突した時に発生するさまざまな高エネルギーの情報をデータ化し、素粒子間で働く力の構造を論理的に追究していく。21世紀の課題ともいわれ、世の中がどのような仕組で成り立っているのかなど、人類の歴史の解明にも結びつく。

 卒業論文「Dirac方式を用いた水素型原子の相対論的準位の計算」は、大学院で研究していく基礎になったと思う。

 物理の面白さは、まったく別の現象が実は同じ原理で動いていたり、その反対のことがあったりすること。中・高級部で理科を学ぶ過程で、その魅力に魅せられ、大学に進学した。

 大学では学業に専念する一方で、留学同活動に参加した。そこには日本の学校を卒業した青年も多く、彼らとの交流の必要性、大切さを感じた。

 大学院では、世界レベルの研究をし、その成果を統一祖国の繁栄に生かしていきたい。

 留学同の後輩たちに対するバックアップもしっかり行い、日本の社会の中でも朝鮮人としての誇りを持って生きていけるような環境も整えていきたい。(羅基哲記者)

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