春・夏・秋・冬 |
4月の新入学・入社シーズンを前に、時計の広告が目立ってきた。記者が生まれて初めて腕時計を買ってもらったのは中学校入学に際して。当時は腕時計と万年筆が「大人のシンボル」だった
▼誰にとっても必要な時計ではあるが、中にはあまり歓迎されない「核の時計」というものもある。人類を破滅へと導く核戦争までの残り時間を示したもので、つい先日、その針が2分進められ、残り7分となった。冷戦終結後の91年に17分前まで戻されたが、95年、98年と連続して進められ、今回で3回連続。旧ソ連からの核物質流出リスクが高まったこと、インドとパキスタンが核実験を行ったことなどが過去の理由だったが、今回は米国の核軍縮への消極姿勢が挙げられている ▼それを裏づけるかのように、ブッシュ米政権が核先制攻撃のシナリオ策定を検討するよう軍部に指示していた事実が、米紙の報道で明らかになった。1月にその一部が公表された「核戦略の見直し計画」の機密部分。朝鮮を含めた7カ国が対象で、中国、ロシアも含まれる ▼これまで抑止力として「使われない」ことが前提だった核兵器。報道が事実だとすれば、実際に使用する可能性も出てきたことを意味する。「9.11」以降、いささか暴走気味の米政権だが、世界の反発を招くのは必至だ ▼2月に朝鮮を訪れた在日本朝鮮人被爆者連絡協議会の李実根会長によると、朝鮮で新たに1000人の被爆者が確認された。今なお、後遺症に苦しみ続ける彼ら。その傷も癒えぬうちに、ブッシュ政権は再び過ちを繰り返すべきではない。(聖) |