総聯に対する不当捜査―多くの日本市民に知らせよう
過剰捜査真相究明委主催で日本市民が集会
「朝鮮総聯に対する過剰捜査を憂う市民集会パート2」が6日、衆議院第1議員会館で行われた。「朝鮮総聯に対する過剰捜査真相究明委員会」(共同代表=槙枝元文・朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会議長ら4人)が主催したもので、昨年12月に続き2回目。集会では朝銀問題を口実にした総聯中央への強制捜査と元財政局長の逮捕の不当性が重ねて強調された。またこのような取り組みを続け、捜査に名を借りた在日朝鮮人への人権侵害に反対していくことが確認された。
在日社会解体狙う 主催者を代表してあいさつした槙枝共同代表は、昨年の集会に国会議員、学者、弁護士、ジャーナリストら全国130人以上が賛同を寄せたことや首相官邸を訪れ抗議したことを報告した。さらに、日本と朝鮮の間に国交が樹立されていない状況で、実質上大使館の役割を担っている総聯中央本部に対する捜査は不当なものだと強調し、今重要なことはこの不当性を多くの日本市民に伝えることだと指摘した。
集会では前田朗・東京造形大学教授、北川広和・「日韓分析」編集長、清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表がそれぞれ報告を行った。 「朝銀問題の政治的背景」と題して話した前田教授は、捜査当局は総聯に対する捜査を通じて在日朝鮮人社会の団結力と仲間意識をそぎ、解体しようとしていると指摘。その背景には徐々に進んでいる日本の軍国主義化があると強調した。 前田教授は、同じ流れの中で昨年から続いている一連の事件を列挙し、公安調査庁による外国人登録原票の不当入手は在日朝鮮人を犯罪人視したもので、在朝植民地被害者の日本入国拒否は朝鮮との国交樹立交渉の意思を放棄したことの表れだと非難した。 また日本の軍国主義化に反対するさまざまな市民と連帯していくことが、総聯に対する不当捜査に反対する世論作りにつながると語った。 新しい運動を 北川編集長は「総聯弾圧とマスコミ報道」と題して報告。朝鮮、在日朝鮮人に対する偏見をあおった最近の事件を検証した。 さらに朝銀事件はもちろん、今年の「江ノ島」事件など一連の事件を通じて不信感や偏見をあおった張本人はマスコミだと主張したうえで、新聞やテレビは事実を検証せず、誤った世論を形成することで有事法制整備をねらう日本政府に協力していると非難した。 2月の訪朝報告をした清水代表は、平壌で統一問題に関する国際会議に参加する過程で統一を願う朝鮮民族の願い、自国を「悪の枢軸」と敵視する米国、その米国に追随する日本政府への怒りに触れることができたと述べた。また、軍事化を阻止する日本国内の運動が停滞していることを実感したと述べながら、「運動の取り組み方を考えていく必要がある」と問題提起した。 差別政策の総決算 最後にまとめをした床井茂弁護士は、2月13日に始まった康永官・元総聯中央財政局長の公判について報告。康氏が法廷で無罪を主張し、総聯中央本部に対する不当捜査にも反対の意思を表明していることを述べながら、裁判をたたかう意義について語った。 床井弁護士は総聯、朝銀に対する不当捜査を、「日本政府が戦後一貫して続けてきた在日朝鮮人に対する差別政策の総決算」ととらえることが大事だと強調。日本の金融機関が在日朝鮮人に対して正常な融資をしなかったからこそ在日朝鮮人社会で朝銀が必要とされ、日本政府が民族教育を否定したからこそ在日朝鮮人は自力で学校を運営しなければならなかったとし、われわれはこの歴史を忘れてはならないと語った。 さらにこの歴史をふまえ、総聯への弾圧に反対する広範な連帯の輪を広げていこうと呼びかけた。 |