依然厳しいが一服感
商工連 1月の景況観測調査
在日本朝鮮人商工連合会(商工連)が行っている同胞企業定期景況観測。4回目を迎えた今回の調査期間は今年1月15〜31日。全7項目のうち、5項目が前期比でプラスとなり、「依然厳しいものの同胞企業に一服感が出た」と、商工連経済研究室では分析する。「同胞経済研究」第4号(2002年春)に掲載された調査結果の内容を抜粋して紹介する。
概況 日銀短観(2001年12月調査)との比較で見ると、景況DIと資金繰りDIでは一般の中小企業より同胞企業が悪い。 業種別に見ると、飲食業は引き続き厳しい状況にはあるものの、前期に比べ設備DI以外の項目ですべてプラス。同胞の場合、飲食業といえば焼肉店が最も多いと思われるが、BSE(狂牛病)の影響はいまだ強いものの、最悪期を脱した感がある。 製造業は、全企業のDIをほとんどの項目で上回った。ただ設備DI、人手DIでは過剰傾向にあり一段のリストラが要求されそうだ。金融業は、前期の悪化状態から一転して今期は回復傾向を示している。 景況 景況DI(「良くなった」―「悪くなった」)は前回とほぼ同じ▲(マイナス)48となり、前期比で4ポイントのプラス。前期調査時(01年10月調査)の見通しより12ポイント上回った。ただ来期見通し(「良くなる」―「悪くなる」)は▲52と悪化傾向にある。 業種別では、金融業は前期▲57から▲37と20ポイント上昇したが、来期見通しでは▲81と一気に44ポイントも下落した。飲食業は▲58だが、前期の大幅な下落から若干持ち直し、来期見通しでも上向いている。 売上高 売上高DI(「伸びた」―「落ちた」)は▲38となり、前期と比べ6ポイント上昇。今期のマイナス幅も前期の見通しより11ポイント高かった。来期見通しの売上高DI(「伸びる」―「落ちる」)は▲43。前期比の伸び率は▲7%で、来期の伸び率は▲9%と見込まれている。 業種別にみると、製造業は▲18と最もマイナス幅が小さい。飲食業は▲63と最も悪いが、前期の大幅下落から比べると一段落の感はあり、来期見通しでも上向いている。 仕入れと採算 仕入価格DI(「上がった」―「下がった」)は▲9と、小幅ながら4期連続マイナスとなりデフレ傾向が現れている。 採算状況DI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲41と前期比7ポイント上向いているが、来期(「良くなる」―「悪くなる」)は▲45と楽観は許されない。 資金繰り 資金繰りDI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲47と依然厳しく、来期の資金繰りDI(「良くなる」―「悪くなる」)も▲50と同胞企業の資金繰りの悪化傾向は続いている。 業種別では、遊技業が▲61と最も悪く、来期も▲60と現金商売の遊技業にとっては厳しい時期が続く。土木建設業は▲53と4期連続で全企業を下回り、来期も▲63と厳しい資金繰り状況にある。 金融業の資金繰りDIは4期連続で前期比プラスとなり、来期見通しも▲19と上昇傾向。飲食業も前期▲74から今期▲53と持ち直し、来期においても全企業を上回るとの見通しだ。 設備と人手 設備DI(「足りない」―「余っている」)は4。設備不足という結果だが4期連続前期比が減少し、また来期見通し(「足りない」―「余る」)ではついに▲1となり設備過剰は確実に進んでいる。 人手DI(「足りない」―「余っている」)は▲8と前期よりマイナス幅は広がり、来期(「足りない」―「余る」)も▲12と確実に雇用過剰感が出ている。 業種別では、製造業は▲15、来期見通しも▲18と設備DI同様過剰傾向にあり、さらなるリストラを迫られる。飲食業は前期▲26から▲5と21ポイント回復、来期の見通しにおいては0と雇用過剰感が解消しつつある。 【調査対象】 東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡の各商工会の法人会員から281法人の経営者。調査方法は面接。 【調査内容】 @景況判断A売上高B仕入価格C採算状況D資金繰りE設備F人手の7項目。昨年10〜12月期を基点に前期比の状況、来期の見通しを調査。 【注】 DI(diffusion index)は景気判断指数などに用いる。A―Bで計算。単位は%ポイント。 景況と売上高、資金繰り、採算状況のいずれも、DIがプラスであれば好転、マイナスであれば悪化と判断できる。仕入価格はプラスであれば上昇、マイナスであれば下落。設備と人手は、プラスであれば不足、マイナスであれば過剰と判断できる。 |