春・夏・秋・冬

 大統領の口の悪さが国民にも伝染したのだろうか。先のソルトレークシティー冬季五輪のショートトラック決勝で、失格となり金メダルを逃した金東聖選手に対する、米テレビ司会者の中傷発言のことである

▼発言の内容は、「(金選手は)怒っているので犬をけり倒し、その犬を食べているかもしれない」というもの。これは金選手に対するものというより、朝鮮人全体に対して吐かれた妄言以外の何ものでもないとの認識が大勢を占める。南の国会では与野党がこぞって司会者の降板を求めるまでに、事態は発展している

▼「判定には今も納得できない」と本人が言うほど、今回の金選手の失格は不可解だった。金メダルを獲得したのが米国選手だけになおさらだろう。なにしろ、今回ほど米国の国威発揚が鼻についた五輪はなかったからだ。「米国の、米国による、米国のための五輪」と、リンカーンの演説をもじって皮肉った南のメディアもあったほどだ。米国に金メダルを奪われたという思いが強い中での発言だけに、人々の怒りの火に油を注ぐ結果となった

▼当の米国人司会者はいまだに謝罪していないという。そのため東亜日報が自社サイトで、金選手が彼を名誉き損で訴えるべきか聞いたところ、74%が「イエス」と回答。うち62%が「必ず行うべき」だとしている

▼「犬肉を食べる文化をべっ視した人種差別発言」とメディアが非難するまでもなく、今回の発言には根深い民族差別がひそんでいる。それはブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言とも、根底ではつながるものだ。(聖)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事