「生きて、愛して、闘って」朝鮮女性の半生が本に
本紙・女性欄「語り継ごう20世紀の物語」を改題
朝鮮青年社から刊行
全173ページ。受難の歴史を生き抜いた
女性たちの思いが込められている
遥かな故郷、愛する肉親との生き別れ。互いの身に別々の歳月が流れた。過酷な日本の植民地支配を生きて、渡日した朝鮮の女性たちがいた。歴史に名をとどめることのないごく普通の女性たちだった。娘として、妻として、母として、働く女として歩んださまざまな女性たちの苦難の物語が一冊の本になった。書名は「生きて、愛して、闘って−在日朝鮮人一世たちの物語」。朝鮮青年社から出版された。
本書は朝鮮新報・女性欄から生まれた。 99年10月からの大衆紙改編にあたって生まれた企画。「社会の底辺や日の当たらない場所で生きていながらも、いつも祖国と民族に熱い思いを寄せて生きてきた在日同胞1世の女性たちに光を当てたい」と取材を始めた。連載時のタイトルは「語り継ごう20世紀の物語」であった。ここに25人の人たちが登場した。 女性たちの話は、みな波乱万丈という言葉では言い尽くせないものばかりだった。強圧を受けながら、決して折れることなく耐え抜き、生き抜いた女の半生を語った。そして、半世紀以上も胸に封印していた「恨」を一挙に吐き出しながら、それを子や孫に伝えたいという強い願いがあった。彼女たちから受け取った歴史のバトン。それを私たちがどう生かして行くのかが問われていると思った。 祖国を奪われ、絶望的な運命に翻弄されながら、屈せず力強く生きた女性と家族の物語。すべてのハルモニたちが、愛しく、美しかった。 昨年、故郷訪問を実現した98歳の金吉徳さんのインタビューは2日間、のべ12時間を越えた。人の「記憶の古井戸」をのぞくということが、かくも体力と精神力が必要なのかを思い知らされた。金さんが即興詩(朝鮮語)を作って、歌ってくれた。 山田さんは本書の特徴について「在日朝鮮人女性が民族差別と性的差別の二重の差別の被害者である反面、解放後の民族運動の面でたくましい働きをしてきたことを明らかにした」と評価し、「こうした南北朝鮮や在外の朝鮮人女性の希望を実現する統一が達成されることを祈る」と述べている。 問い合わせは、朝鮮青年社(TEL 03・3813・2291)。 |