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コリアン青年成人式  実行委員長を務めて

金鐘一(兵庫県在住)


 去る1月13日、在日朝鮮青年の日に際して「兵庫コリアン青年成人式2002」が神戸ポートピアホテルで行われた。私はその実行委員会委員長という大役を任された。実は、民族教育を受けてきた12年間、「委員長」という名前とは無縁だった。「なんで僕が…」。とまどいと同時に重いプレッシャーがのしかかった。

 実行委員会の主な仕事は、式典後に行われるパーティーの準備とその動員活動。

 そのためにまず、実行委員会のメンバーを募ることになった。だが、呼びかけた同級生たちは仕事や学校などで多忙な毎日を送っており、なかなか全員が集まることが難しかった。「俺だって自分のスケジュールを犠牲にしてんねん!」と言いたいのはやまやまだったが、口から出るのは「忙しいもんな〜。じゃ、また日をあらためて電話するわ」などのダメ出しだけ。

 それでもどうにかして実行委員会を発足させ、短い期間ではあったが毎日のように集まり、企画や進行など、どうすれば参加者たちに楽しんでもらえるかと夜遅くまで話し合った。

 よく考えてみると、高校までは何かと先生がサポートしてくれた。いまさらながらにそのありがたみがわかる。でも、今回は自分たちの力ですべてを仕切らなければならない。本当にうまくいくのか、みんな来てくれるのかなど、考えれば考えるほど不安は募るばかりだった。

 成人式の当日、会場には久しぶりに会う元同級生を中心に約140人の同胞青年が集まった。記念撮影、新成人の決意表明、ビデオレターなど、1部の式典は終始和やかな雰囲気の中で終えることができた。

 そして実行委の心配と不安をよそに、2部のパーティーにはほぼ全員が参加し、大いに盛り上がった。日校出身のトンムたちも朝高出身のトンムたちと溶け込んで楽しんでいた。そんな姿を見ていると、こうした機会を通じて、幅広い同胞青年たちが一つの場所に集う必要性をつくづくと感じた。

 また、当日までがんばってきた苦労、当日忙しくて何も食べられなかった空腹感もすべて吹き飛んでしまった。

 現在、同胞社会の前途にはさまざまな困難が立ちはだかっているが、だからこそコリアンとしての誇りと自覚、そして1世同胞が築き上げた在日朝鮮人運動を継承して次代を担う主人公として生きていくことが求められている。成人式とそこに至るまでの過程を通して、強く感じたことだ。

 余談ではあるが、予想以上の参加人数によるパーティーの収益は微々たるものだが、社会福祉事業への貢献のためにムジゲ会、民族教育発展と母校への感謝の気持ちを込めて神戸朝高、同胞ネットワーク構築のために朝青兵庫に寄付させてもらった。

 20歳を機に、初めて担った「委員長」という大役だったが、「何事もやればできる」と思った。同時に、新たなことにどんどんチャレンジしていくべきことも学んだ。そのパワーと根性を持って、地域同胞社会の発展に尽くしていきたい。(神戸学院大学2回生)

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