朝鮮人強制連行者の名簿13万人分を日本が隠ぺい
朝・日合同の真相調査団が裏付け文書を発見
「韓日協定」交渉時
「だまされた」南で追及の動き
朝鮮人強制連行者たちに訓示する日本警察当局 | 「日本にだまされ結んだ韓日条約」などと報じる南の各紙(2月4日付) |
「韓日協定」締結(1965年8月)に至る過程で、南朝鮮側が請求した朝鮮植民地支配時期の朝鮮人強制連行者に関する資料(名簿)を、日本側が隠ぺいしていた事実を証明する文書が、このほど神戸市立中央図書館で見つかった。朝・日合同による朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側の調査で発見された。この事実を報じた南の各紙は、「韓日条約はだまされて結ばれた」と一様に主張。現在、日本と南の国会には、日本の植民地支配の真相解明を促す各種法案が上程されており、その論議に大きな波紋を投げかけそうだ。
「裏付けない」と答弁 今回明らかになった文書は、「韓国人移入労務者数について−討議用資料」と題するもので、外務省北東アジア課が62年2月に作成した。「被徴用(強制連行)労働者66万7000人が日本に連行された」という南側の指摘について、日本側の協議チームだった地方自治体と内務省警保局(現警察庁)が協議した際に使用された。 資料によると、強制連行者の名簿は「各事業場が保管」し、政府にはそれを各府県が集めた「集計統計」があるだけで、「厚生省には保管されていない」と記されている。 だが、「ただし、46年6月に、(連合軍)総司令部の命令で集めた名簿17府県13万7406名分はある」としながら、「厚生省とは別に内務省警保局でも集計されている」ことが明記されている。つまり、この時点で少なくとも、約13万人分の名簿が日本政府の手元にあったことを認めている。 しかし、「韓日協定」国会批准のための第50回臨時国会(65年10月)で当時の椎名悦三郎外務大臣は、朝鮮人強制連行者の資料に関しては「裏付けるものがない」と答弁し、強制連行者名簿の存在を否定した。 今回の文書発見によって、南の被害者団体は「韓日条約」の再検討を訴えている。またこの事実を伝えたハンギョレ、朝鮮日報、文化日報などは、「韓日条約は日本にだまされて結ばれた」ものと指摘、真相究明を求める動きが活発化しそうだ。 解明法案実現に拍車 日本と南では現在、日本の植民地支配の真相解明を促す各種法案が国会に上程されている。 日本では「国立国会図書館法の一部を改善する法案」と「戦時性的強制被害者問題解決補償法案」が継続審議中だ。南の国会には昨年10月、「日帝強制占領下強制動員被害真相究明等に関する特別法案」が提出された。米国の連邦議会では2000年12月に「日本帝国政府記録情報公開法」が成立し、調査が進行中だ。(羅基哲記者) ◇ ◇ 今回、文書を発掘した朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進朝鮮人側事務局長は次のように語っている。 「国連では『真相は、健全な社会的浄化の方法をもたらし、過去の再発を防止することを助ける』と記された報告書が採択され、以降、『慰安婦』問題、強制労働など日本の過去の清算を追及する討議が毎回行われている。日本の教科書問題は過去の真相が意図的に隠ぺいされているところに大きな問題点がある。このような歴史的経緯を明らかにすることなく、朝・日両国間の国交正常化、両国国民の真の友好はありえない」 |