春・夏・秋・冬

 ブッシュ米大統領の「日・韓・中訪問」。久しぶりに上京してきた知り合いの記者がこういった。「94年初、朝鮮をならず者よばわりして戦争も辞さず、と核疑惑騒動を緊張局面に追いやったクリントンを、西部劇の保安官に風刺した一コマ漫画が韓国紙に掲載されたことがあったが、それを思い出してしまった」

▼勧善懲悪の単純なストーリー、そして最後に必ず保安官が悪漢たちを退治する場面で結末を迎える西部劇。テキサス出身ということが、さらにイメージをだぶらせる。そういえば、ブッシュが混乱のうちに大統領選挙に勝った時も、ある米国人記者は「銃を撃つことしか頭にない保安官の登場」と、皮肉たっぷりに語っていたことが思い出される

▼それにしても、ひぼう・中傷としかいいようのない朝鮮に対する一連のブッシュ発言に対して、そのことが何を意味するのか、冷静に分析、論評を加えたマスコミはほとんどなかった

▼前述の友人は、「基本合意に明記された軽水炉提供の期限は来年。その約束を果たさぬまま査察の前倒しとか、通常兵力の一方的な削減を要求することは、米国大統領がその履行を保証した米朝基本合意を白紙に戻そうというもの。それはイコール94年以前への後退、つまり戦争瀬戸際への回帰だ」と、その危険性について力説した

▼まさにその通りである。一方的な価値観を強要、その受容を迫るブッシュ政権。それを認めない勢力は力で駆逐するという発想は、彼らが好んで口にする自由、民主主義を自ら否定する、独裁以外の何物でもない。(彦)

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