グローバル新風
「狭く」「大きく」したユーロ
2月のはじめから、西ヨーロッパを周っている。このコラムは、スペインのサーンセバスチャンからパリ、ロンドンへと続く列車の中で書いており、3カ国にまたがる欲張りな執筆だ。しかし時間にすると半日ほど。「ユーロスター」などの国際特急に乗ればヨーロッパは狭く感じるはずだ。
さて、ここヨーロッパでは今年からユーロが導入された。見て、聞いて、使った限りでは、とくに問題なく流通していた。たまにレジでまごつく店員もいるが、欧州を周る者としては、両替の必要がないので非常に便利だ。 しかし、自国の通貨を廃止することに抵抗は無かったのだろうか。フランスで見かけたポスターには、「今年からユーロです…。フランとはお別れです、永遠に」と、やや哀愁を誘う文句があった。 ローマでお会いした駐伊朝鮮大使によると、「ユーロ導入に対して国民の間でもいろいろと憂慮はあるようだが、総論としてはほとんどの人が支持している」とのこと。 たしかにイタリアのリラやスペインのペセタでは、グローバル化する世界経済では太刀打ちできないところを、各国が通貨を廃止、というより各々が通貨を合体してより「大きなお金」をつくり、海外でも広く通用する通貨を共有していたと感じる。欧州はそういう大胆な実験と挑戦を行っている最中だった。 そうこうするうちに、列車はロンドンに到着した。そう言えば、ここはユーロを導入していないが、ブレア首相は導入に乗り気だという。英国も加われば、ユーロはさらに力を宿し、欧州はさらに「狭く」「大きく」なるだろう。 (李達英=朝・日輸出入商社 pujgasari@yahoo.co.jp) |