月間平壌レポート  2002.2

団結をアピールした2月の祝日

各地で多彩な慶祝行事

金正日広場で行われた舞踏会 平壌体育館で行われたマスゲーム

 【平壌発=姜イルク記者】本社平壌支局は1月末から慈江道、両江道、咸鏡南・北道など、朝鮮の地方取材を行っている。「苦難の行軍」と言われた時期、各地の人々がどのように困難を乗り越えてきたのかを取材するのが目的だ。想像を絶する困難を乗り越えた人々は「強盛大国」建設を目標に平和的な経済建設に励んでいたが、驚かされたのは人々が朝鮮を「悪の枢軸」としたブッシュ米政権を強く非難、反米感情が地方でも急速に高まっていたことだ。

タリバンではない

 咸鏡南道新興郡での取材を終えた夜、郡人民委員会幹部の自宅に招待された。

 家の電気は、「苦難の行軍」の時期、城川江に建設した階段式発電所(30カ所)から来ていると説明してくれた。近くでは、KEDOが提供することになっている軽水炉建設が行われているが、これに期待したことはない。なぜなら朝米間の約束にもかかわらず建設が遅々として進まない現実を目の当たりにしていたからだ。

 「建設が進まないのに誰が期待するのか。もともと誰も米国を信じていなかった。米国の約束違反は郡人民の反米感情を刺激しただけだ。われわれは自らの力で発電所を建設して電力問題を解決したのだ」

 過酷な困難を団結した力で乗り切った経験はこの地の人々にも大きな自信になっているようだ。彼らは「苦難の行軍」は、米国をはじめとする敵対国との「銃声なき戦争」だったと認識している。

 「ブッシュ政権は、弱小なタリバン勢力を崩壊させ勝利に酔いしれているが、わが朝鮮はタリバンではない。米国が銃を強要するなら銃を取って戦う。彼らは朝鮮をまったくわかっていない」

 この幹部は若干酔ってはいたが、その言葉は自信に満ちていた。

注目されたテレビ番組

 金正日総書記の誕生日に際し、今年は16〜18日までの3日間が休日だった。祝日のテレビは金正日総書記の業績を伝える記録映画や、祝賀行事などのプログラムが組まれ放映された。

 このような中で、注目されたのは、17日夕方に放映された「万寿台テレビ」の「アフガニスタンの悲劇」というタイトルの特集番組だ。30分にわたるこの番組では、最後まで戦うと豪語していたタリバンが、なぜいとも簡単に戦闘を放棄して崩壊に陥ったのか、その原因をアフガニスタンの国家形成の歴史から探っていた。

 番組が要因に挙げたのは、多くの民族が寄り集まったこの地域で国民の団結がなされていなかったこと、女性をべっ視し社会に貢献させなかったことで団結がより弱まったこと、さらに、軍事を軽視して何の対策もなされていなかったこと、などなど。

 市民は崩壊したアフガニスタンの教訓を伝える番組が、この時期に放映された意味をよく知っている。

 団結と軍事力がアフガニスタンのようにならない強力な武器である、というのが人々の一般的な認識で、超大国と対峙する朝鮮人民の感情は偏向する西側世界の論調とは大きく乖離(かいり)している、というのが素直な感想だ。

強盛大国建設に総力を

 2月の祝日は緊張している朝鮮半島情勢を充分意識したものとなった。

 15日に行われた2.16祝賀大会で報告した金永南最高人民会議常任委員長は、米国とこれに追従する日本と南朝鮮の反共和国、反統一策動によって、「朝鮮半島には超緊張状態が造成され、新たな戦争の危険が日を追って増大している」としながら、金正日総書記を中心に団結することを呼びかけた。

 また、朝鮮労働党中央委員会、軍事中央委員会、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会・最高人民会議常任委員会・内閣も16日、連名で金正日総書記に送った祝賀文で、金正日総書記を中心に団結して、社会主義を守りぬき、強盛大国建設の決定的な転機をなすために総力を尽くすとした。

 朝鮮半島情勢が緊張の度合いを強めている中、今年も金正日総書記の誕生日に際し、さまざまな行事が行われた。

 平壌の街はイルミネーションとネオンで彩られ、平壌体育館では1万人規模のマスゲーム、各劇場では、音楽舞踊公演が行われ、人民大学習堂では金正日花展示会があった。さらに、金日成広場をはじめいたるところで舞踏会が催され、市内の各工場・企業別にスポーツ競技、文化行事が行われ、市民は、一心団結の姿を内外にアピールした。

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