取材ノート

「嵐」吹き飛ばす行動力


 BSE(狂牛病)問題の風評被害による厳しい経営を乗り切り、再び業界を活気づけようと、各地の同胞焼肉店が奮闘している。

 各店あるいは各店合同による各種イベントが催されているが、その主な内容は@割引キャンペーンA商品プレゼントB街頭試食会――の三つ。

 企画当事者の話などを総合すると、いずれのイベントも、焼肉から遠ざかっていた消費者を再び店に呼び戻すきっかけになったという。

 つまりこれは、黙って「嵐」が通り過ぎるのを待つのではなく、積極的な行動に打って出て集客に結び付ける努力をすることが、現状打開の道であることを物語っている。

 イベントを企画するには費用がかかるが、ビールなどは各飲料水メーカーに協賛してもらい、コストダウンを図っているところが多い。

 「肉の日」にあたる2月9日、埼玉県所沢市の所沢駅前で行われた焼肉フェスタは、市が費用の半分を助成したという。

 アイデア、得られる力を存分に活用し、イベントを企画していることがうかがえるが、こうしたイベントは消費者にとってはありがたいものだ。

 しかし、焼肉店の命は、各店が誇る「味」。

 BSE問題後、経営に神経を集中させる一方で、自分を見直すため夜を徹して「味の研究」「新メニューの開発」に力を注いでいる経営者も少なくない。

 焼肉は今では「文化の一つ」と言われるほど日本社会にも定着しているが、そもそもは在日同胞が築いた業界。2万を超える店の経営者の7割は在日同胞である。

 「嵐」が完全に通り過ぎたわけではないが、同胞らが力を発揮してこそ、この業界は繁栄するはずだ。そのための今のさまざまな試み、努力は必ず報われると確信している。(基)

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