よりよいウリハッキョを−現場の取り組み−(2)

競争心増し学力向上

西播初中 徐建洙校長


同胞らの要望実現へ

 西播朝鮮初中級学校(姫路市)は昨年4月、同じ市内にある姫路初級と隣接する高砂市の高砂初級、それに両校附属幼稚班と統合され、21世紀、民族教育をさらに発展させ、子どもたちの才能をよりいっそう開花させていくことのできる学校として、新たに出発した。

 新学期、登校・登園してきた子どもたちの姿を見ながら、正直言って少し不安もあったが、今では「大人の余計な心配だった」と思うほど、子どもたちは元気に遊び、学んでいる。

 統合問題は、数十年前からそのつど提起されてきたが、近年、地域同胞社会の過疎化と少子化などによる生徒数の減少、財政的問題などから、避けては通れない緊急懸案として再浮上してきた。ちなみに初級部6年生の修学旅行と市のサッカーリーグにはここ数年、すでに3校合同で実施、参加してきた。

 こうした状況を踏まえ、総聯本部などの関係機関と協議したうえで、民族教育をさらに発展させるためには、ハッキョを統合するのが有利だという結論になった。中級部からはわが校に進学するという実情もあり、昨年度から父母らに提起し、説明会などを通じて同意を求めてきた。総聯本部では昨年初めに実行委員会を設置し、父母らの要望に耳を注意深く傾けながら、統合の準備を進めた。

 統合を通じて成し遂げようとしたことは、子どもたちをりっぱな朝鮮人として育てるためのよりよい教育環境を整えることと、学校の運営を正常化させることだった。なお通学問題は、以前同様3校合わせて8台の通学バスを稼働させることで解決することにした。

園舎を一新

 3校を統合し、よりよい教育環境を整えるうえでまず、附属幼稚班の園舎の大々的な補修工事を行い、園舎を一新する問題が提起された。それまでの園舎では園児全員を収容することができなかったからだ。

 学校の教育会理事を中心にした地域同胞学父母らの協力で、3000万円の予算を組んだ。そして壁や天井などの室内を改装したところ、室内は格段と明るくなった。また遊戯具や冷暖房、多目的ホール、教員室などを新たに設置した。

 結果、入園式にはすべての園児がそろい、61人という大人数で新たなスタートを切った。園児が増えれば増えるほど活気も自然と増し、雰囲気もとてもよくなった。民族教育は、子どもたちをりっぱなチョソンサラムに育てる唯一の場であり、その始まりが幼稚班である。初、中級部の生徒数を増やす大きな土台を整えることができた。

 一方、初級部も生徒数が増えたことで、以前と比べて雰囲気が変わった。統合前は、人数2ケタに及ばないクラスがほとんどだった。それが3校の統合により、1クラスを除いて30人台に生徒は増えた。子どもたちの競争心は増し、学力向上につながっている。

 美術展覧会では初級部が初めて学校賞を受賞し、県の陸上競技大会では県内で最も多く入賞。学生中央口演大会には8種目参加し、教員らの教育研究集会では「少年団活動をりっぱに行っている模範学校」を授与されるなど、各方面での活躍が目立った。また以前はクラスでチームを分けてサッカーやドッジボールをすることは不可能だったが、統合後そうした心配もなくなった。歌を歌っても力強く、運動会も団体競技が増え、活気にあふれるようになった。何よりも友だちが増えたことに生徒たちは喜んでいる。こうした環境を整えてこそ、子どもたちの世界観育成に役立つと思う。このように、生徒たちが実質的な成果をもって活躍しているところに、統合の正当性が表れていると思えるようになった。来年度、幼稚班は29人の新たな子どもたちを迎えることになる。これで園児数は今年度より4人多い65人になる予定だ。卒園者は全員、初級部に入学する。

運営の合理化を

 学校運営を正常軌道に乗せることも、懸案問題となっていた。

 教育会を一つにしたことで、多くのメリットが生じた。運営の1本化に伴う運営の合理化を図れた。その結果、例えば、父母らの負担を軽減することもできた。教職員の給料も現在、正常に支払うことができている。また、総聯の各機関、団体からの支援も一つに集中されるようになり、強力になっている。同時に、学校を心のより所にする地域同胞らの力も大きくなり、地域がさらに発展する原動力として生まれ変わろうとしている。

 教職員らは今後も、教育の質を高めていくとともに、地域の活性化に努めていくつもりだ。

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