春・夏・秋・冬

 先日、パキスタンにあるアフガニスタン難民キャンプの現状を紹介する番組を見た。病気の親の代わりに働く12歳と10歳の兄弟の姿には、とりわけ胸が痛んだ。「なんで働くの?」、「お金がほしいからさ」。「なんでお金がほしいの?」、「パンを買うためだよ」。記者との間でこんな会話が交わされる

▼いまさらなぜそんな当たり前のことを聞くのか、といった感じの長男。次男は幼い頃の病気がもとで右手の自由が効かない。それでも2人の幼い両肩に家族の生活がかかっているのだ。とは言え、レンガ作りの土を埋める作業を1日中行っても、得るのはたったの40円。長男の手はとても12歳の物とは思えぬほどカサカサに荒れていた

▼ユニセフ(国連児童基金)によると、労働を強いられている子どもたちは世界に2億5000万人いる。貧困のなかにいる子どもたちは、家族を支えるために過酷な労働を耐えねばならない

▼そこで問題になるのが識字率だ。1日中労働をしていたのでは、学校に行く時間は到底作れない。前述のアフガンの子も、生まれてからこのかた1度も学校に行ったことがないそうだ。途上国では、小学校に行けない子どもが1億1000万人以上もいる。就学年齢児の約20%を占める

▼一方日本では、説教されたことを根に持ち集団でホームレスの男性を殺してしまった中学生の事件があった。中には母親にさえ叱られたことがない子もいたそうだ。気にいらないことがあれば暴力に訴える。まさに子どもの発想。一家を支えるアフガン少年の、爪の垢でも煎じて飲ませたい。(聖)

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